きっと彼自身が悪いというわけではないのだけれど

 モテない青春時代を送り、そのままモテない中年男性となってしまった人の、なんだか悲しい日々のお話。

 ある種のリアルさのような感覚が胸にヒリヒリ来ちゃう、現代もののドラマです。
 途中で一度ファンタジーらしい展開になる場面もあるのですけれど、基本的には私たちの生きる現実的な現代を舞台にした物語。

 つらいというか悲しいというか、主人公である和輔さんの、その造形から漂う何か哀愁のようなものがもう本当にすごい。

 決して悪い人ではないと思うのですけれど、さりとて周りが悪いというわけでは当然なくて、どうあれ彼の人生は結局彼自身が背負わなくてはいけない。
 なのに、こう、どうもいろいろ足りてない感じが(そして当人ではそれをどうしてみようもないところが)、もう見ていて本当に切なくって……。

 彼の幸せをつい願ってしまうというか、どこかで救われてほしいなと思わずにはいられないお話でした。