chapter 1 From that day
あの日から俺は変わってしまった。
人間は置かれた環境でこうもひっくり返ってしまう。
何人手をかけた、いくつの命を奪った、20を超えた辺りから数えるのを止めた。
自分でも思う、とんだサイコパスだ。
「ボス、全てコピー品ですがAK60丁です」
「着いたか…2年かかったな、銃の入手に」
SEVENSTAR 最近勢力を増しているギャング。
名前の由来は煙草の銘柄だ。
目の前にある大量のアサルトライフルを見て不吉に笑う。
「これでこの街も俺達の物だ」
「コピー品ですが動作に問題はありません、ジャムる(弾詰り)事なくホームレスが野良犬の餌になりました」
「ふっ、そうかそうか、楽しみだな、この街のクズ共を蜂の巣にする日が」
ボスと呼ばれる男は1丁手に取り眺める。
「お前ら!今日は祝杯といこうぜ!飲め飲め!俺らは明日天下取るぞ!」
「おぉぉぉぉぉぉ!!」
大勢の部下が雄叫びを上げ指笛を鳴らす。
その中につんざくような笛の音が聞こえた。
「ったく、うっせぇ!誰だ笛なんか鳴らしたやつぁ!」
当たりを見回すが笛を持ってる人物なんていない。
「おいおーい、俺らの仕事とんなよ」
「飲みすぎると肝硬変になるよ」
声がする方を向くと2階の柵に2人の少年の姿があったのだ。
「おぉ!なんだガキぃ!どっから入った!」
「ん?2階のドアピッキングした」
「違います、こいつ壊しただけです」
「てめぇら!こんなとこ来てどうなるかわかってんだろうなぁ!?」
「AKねぇ、俺は好きよ」
「えぇ…ゲリラの銃じゃない」
「ゴリラ?」
「聞いてんのかこらガキ!!」
手下の1人がボスに言い放つ。
「ボス、まだ撃ったことないですよね、どうですか?」
「おお、いい案だなぁ」
「俺は反対かなぁー」
「俺も反対」
「残念だったなぁガキ、見られちゃ探検ごっこもお終いだ!」
ボスが銃を構える。
「あらら、戦争ごっこ始まりだ」
連続の破裂音がその銃の威力とリコイルを物語っている。
銃弾は少年2人の頭に当たり側頭部から脳漿を飛び散らせドサッと倒れ込む音が聞こえた。
「ふぅー!気持ちいいなぁ!ぶっぱなすのは!」
「お見事ですね、頭弾けましたよ!」
「はっはっはっは!」
部下の笑い声が響き渡る。
「ヒット〜!」
「ナイスヒットコール、てゼオ、サバゲじゃないんだから」
頭の欠けた少年が2人会話をしている。
異常事態に驚きが隠せない。
欠けた頭は煙が纏い修復している。
「なんだコイツら…!」
「ば、化け物…」
「俺達もやろうぜぇ〜反対の奴いる?」
「俺は賛成」
2人の少年が両腕を突き出す。
「はい、満場一致」
やり方は俺が初めて人を殺した日に教わった。
「その手から銃出すのどうやるの?」
「ん、めっちゃ簡単、これ持って」
「ああ」
ゼファーは手渡された銃を持つ。
「アプリインストールするイメージして」
「意味わかんない」
「ごめん、今のは俺が悪かった、まぁ用はあれだ、手から煙出すのと同じように、もうこの銃は身体から好きなように出る、と思えばいい」
「なるほどね、とりあえず思った」
「じゃあ捨てていいよ」
ガシャっと銃を落とす。
「もう出来るよ、銃出すイメージしてみ」
イメージすると黒煙が舞い手のひらから段々と銃が出現する。
「おおぉ…」
銃を持つのは初めてだ。
ずっしりと重い。
この銃の特徴でプラスチックを使われているため光沢がなく、怪しい存在感を出している。
「そうそう、あと俺はこれ取り込んでる」
そう言ったゼオの手から出てきたのは、多分この世で一番の切れ味を持つであろう。
日本刀だ。
「サムライソードってやつだな、でもなんで?俺達には煙の刃があるだろう?」
「何を言うでござるか、1番重要な事よ」
「なに?」
「かっこいいから」
「…さいですか…」
「さ、ほら、取り引き予定だった爆弾、撃ってみろよっ銃なんて撃ったこと無いだろ?」
「ああ、無い」
「よーく狙って」
銃を構える。
「ファイア!」
パララララ
マズルフラッシュが顔を照らす。
「ぐぅっ!!」
「がぁぁ!!」
「伏せろ!ガキ共銃持ってやがる!」
マガジン容量は50発それを2丁持ち、計200発を撃ち尽くす。
毎分1200発を撃ち出すマシンピストルはもはや小型兵器だ。
「ありゃ、弾切れだ」
「俺も、早いんだよなぁ」
「奴ら一体銃なんて何処から出しやがった!」
「おい!モタモタすんな!弾切れだ奴ら!」
「撃ち殺せ!」
GLOCKよりも激しいAKの銃声が鳴り響く。
「ははっ!当たってねー!」
「避けてないのに、めちゃくちゃ震えてるね」
2人は銃を落とす。
「もーいっかい!」
突き出した両手から銃を出現させる。
「おい…なんだありゃ…手から…」
勝てない。
男の1人はそう悟るも絶望を感じる間も無く銃弾に崩れた。
再び弾倉を空にするとゼオは当たりを見回す。
「全員死んだ?」
聞き耳を立てていると微かに恐怖に喘ぐ声が聞こえる。
「1人そこいない?」
ゼファーがそう言うとゼオは声がした物陰にこっそり近づく。
「だぁぁぁぁ!!」
「ひぃぃぃっ!!」
バッと飛び出し物陰に隠れていた男を驚かせる。
その男は足を撃たれ身動きが取れぬ様だ。
「あっれー?こいつボスじゃね?」
「あらほんと、情けない」
「部下全員戦って死んだのに自分は泣いてこそこそ隠れてたわけだボスぅ?」
「たったすけ、助けてくれ!」
「わーたわーた!助けてやっから泣くなって〜!」
ボスの肩をとんとんと叩くとゼオは男の耳元に顔を近づける。
「魂の救済だぁ…」
殺される、そう感づいた男は失禁してしまう。
「ゼオ、カルト教団じゃないんだから、ほら、おしっこ漏らしちゃったよその人」
「うーわ!!汚ぇ!!!ちょっと待て!靴に付いたんだけど!!」
「それは自業自得でしょ」
「まじざっけんな!!お前ぶっ殺す!」
「や、やめて、助けてくれ…!」
「ゼファー!銃持ってきて!銃!」
「出せるじゃん?」
「AKの方!」
「はいよ」
ゼファーは足下に落ちていたアサルトライフルを拾うとゼオに手渡す。
「かーっちょいぃ〜」
ゼオは銃をまじまじと眺める。
「頼む!金、金ならいくらでもやる!女、薬、なんでもやるから!」
「ははっなーんもいらねぇよ、俺にはゼファーがいればいい」
「きゃ、告白恥ずかしい、て馬鹿、乗らせないでよ」
「ひぃぃぃ!死にたくない!死にたくない!」
少年2人は冗談を言っているがこの状況は事実の他ならない。
「うっせぇ〜なぁ」
ゼオは銃口を男の口に突っ込む。
いきなりの事なので前歯が数本折れて血が溢れる。
「これ咥えてだまってろ、最後にゃドピュとしてやっから」
「ズドンの間違えでしょ」
「なぁこれ弾入ってんの?」
「さぁ?わかんない、この人達バンバン撃ってたから入ってないかも」
「ひゃいっへはい、ひゃいっへはいはらぁ…」
「なにぃ?なんて言ってんの?入ってない?」
男は震えながら頷く。
ドバババババン
「入ってんじゃん」
上顎から上が弾け飛び肉片と血がゼオに降りかかる。
「すごいねゼオ、おしっこに血に肉とか脳みそとか付いちゃってコンプリートする気?」
「うんこだけは絶対に嫌だ」
「俺は全部やだなぁ」
「それずっりぃ!俺も嫌だわ!」
「はいはい、帰ってシャワー浴びよ」
2人は笛を咥えると2つの音が倉庫に鳴り響いた。
Slaughter はく @hikahaku08
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