激ヤバDVストーカーおじさんが怖すぎる!

 ストーカー化した元夫に付け狙われる女性と、それを救わんとする〝魔物狩り〟の人たちのお話。

 バチバチのバトルが楽しい、現代ファンタジーものの物語です。
 高校生の子を持つ親世代が中心のお話で、物語の発端も非常に現実的なもの(ストーカーとかDVとか)であるにもかかわらず、それがそのままファンタジー要素の箔付けになってるのがすごい。
 蟲の形をした何か呪詛のようなものが登場し、主人公らはこれを祓わねばならないのですけれど、それが一体どれほど恐ろしくおどろおどろしいものであるか、皮膚感覚としてバリバリ伝わってくるのが最高でした。
 この「南田博雄という男の人格や行動そのものが説得力になっている」感よ……!

 というわけで、もう本当にこの南田さんが大好き!
 いや人としては到底尊敬できたものじゃないんですけど、彼の思考のありようというか加速っぷりというかが、読んでてビリビリ刺さってきて気持ちいい。
 また、その彼に追い詰められる幸恵さんも。
 怯え方の質感が生っぽくて、こういう細部に感じる滋味みたいなのが大好きなんです。

 もちろん、主軸たる戦闘要素、〝魔物狩り〟の活躍も大迫力でした。
 あくまで能力バトルものとしてきっちり楽しませながらも、人物そのものの濃さをたっぷり堪能させてくれるところが嬉しい作品でした。楽しかったー!