裏の世界のとある組織の少年

「ただいま戻りました~」


 債務者の暗殺の後、所属する組織の本部に最短距離で戻った。

 この組織は各国に支部があるくらいの大きめの組織であり、自分は日本支部担当である。まぁ、出張はよくするので日本からはよく離れている。


「ふっふっふ、よくぞ帰った、リアよ。さすがは日本支部の稼ぎ頭、今回も成功のようだな。」


「うん、そうだね、うん。」


 テキトウに返事をする。

 因みに、この中二病みたいな喋り方の人が支部長のロゼルさん、組織の初期メンバーである。性別不明、年齢不明、素顔不明、本名不明の謎すぎる人物である。

 嫌いではないし、組織に拾ってくれた恩もあるのでけっこう好印象を持っている。

 自分の名前『リア』の名付け親でもある。


「おっ、もう帰ってきてたのか」


「ああ。ていうかまた夜中まで飲んでたのかよ、おっさんは」


「おっさん言うな、まだ28だ、クソガキ」


 このおっさんはサルマ・リアード、諜報担当でいつも酒を飲んでいる。よく絡んでくる面倒なおっさん。

 元々は他の組織の人間だったがロゼルさんが勧誘したらしいが詳しくは知らない。


「他のみんなはまだ仕事中なのか」


「いつもならもっとにぎやかな筈なんだけどな」


 本来のこの時間は十数人くらいいるはず。


「ああ、そうだよ。なんか予想以上に長引くそうだから副支部長を応援に向かわせたよ。」


「あの人間兵器を送り込んだのかよ。敵がかわいそうだな」


 おっさんが敵に同情する。

 因みに副支部長は素手で鉄で出来た装甲に穴をあけるほどの実力を持つ化け物である。


「あ、そういえば。ルア、新しい仕事を受けてくれるかい?」


 いきなり支部長が仕事の話をしだす。


「今からは無理なんだけど。26時だからさすがに眠い」


「安心してくれ、朝9時からだから今から最高で6時間も寝られるよ」


「………よし、お断りs「本部からの指令だから拒否権はないよ」


「は?」


「つまり頑張れってことだよ」


「おっさん変わってくれないか」


「無理だな、こんなおっさんにできるわけないだろ」


 根に持ってるな、こいつ。

 本部の命令は絶対なので逆らえないし、身代わりは居ないし、詰みか…

 ふ~っとため息をつき心を落ち着かせる。






 十数分後


「よし、受けます」


「いや、落ち着くまでが長すぎないかな⁉」


 支部長がツッコんできた。


「まあ、その話は置いといて。依頼内容は何なのかな」


 内容を聞いていなかったので聞くことにする。


「マイペースすぎだけど、まあいいか。依頼内容はだよ」


「…今なんて言ったのかな、ん?あれ?」


 …聞き間違いかな?表の人材だなんてね。


「だから、だよ」


「…おっさん、あの闇医者に支部長を診させよう」


「そうだな、あいつはやばい奴だが腕は良いからな」


 支部長は何か病気になったのだと仮定しておっさんと話を進める。


「虚言でもないし病気でもないから!それは本部の人間に言ってよ」


 半泣き状態で支部長が言ってくる。今年でいくつになるんだこの人は…


「25だよ!」


「心読まないでくれますか⁉」


「読んでないよ、どうせそう思ったんだろうなと推理しただけだよ」


 あ、自覚あるんだ。


「なんか、ごめんなさい」


「謝られると悲しくなるからやめてくれない」


 失礼だったから謝ったが逆効果だったか。


「なんでも一ついうこと聞きますから落ち着いてください」


 すぐに僕はこの言葉を発したのを後悔する。


「あ、じゃあ人材勧誘にぱっぱと行ってきてね」


「ふぁ?え、はぁ⁉」


「君が言ったじゃないかとね」


「なんでもするとはいってn「言いました。ちゃんと聞きました」


 どうしようかなぁ、この状況。…逃げるか。


「逃げたら減給とボーナスなしだからね」


「やらせていただきます!」


 組織がブラック企業すぎるよ。


「パワハラしてるね~、支部長は」


 あのおっさん、他人事だからって調子に乗りやがって。


「サルマ、お前はリアの補助に回れ」


「はぁ⁉」


 おっさんが驚く。


「しょうがないよ、今回は表での仕事だから偽造の身分を作るにしてもリアの保護者が私みたいな身長だと疑われる可能性があるんだから」


「まぁ、支部長はロリショタ体系だからしょうがないか」


「サ、ル、マ~?、きみは問答無用で減給だ。そして、今回の任務はちゃんと行ってくること。後、一発殴らせてね」


 支部長がそう言い終えるとおっさんの体は宙に浮き、そのまま数秒滞空した後、重力によって地面に叩き付けられた。


 おっさんは地雷体系を勢いよく踏んだみたいだ。けど、支部長は本当になんで身長を自分で言うのはいいいのに他人に言われるのは嫌なんだろうか。

 けれど、このことに関して僕から言えるのはただ一つ、ドンマイおっさん、これで道ずれだ。

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心が読める少女と人殺しの少年 幻想の旅人 @gensou-traveller

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