心が読める少女と人殺しの少年
幻想の旅人
プロローグ
夜は裏の世界
「く、来るな!俺から離れろ!」
とある街の路地裏、スーツ姿の男が暗闇に向かって叫んでいた。
「しょうがないじゃないですか、君を殺すことが依頼なんだから。苦しまずに殺してあげるから暴れないでくださいね」
暗闇から少年が姿を現す。
片手に拳銃をもう片手にナイフを持ち、黒いローブで身を包み、そのローブを目元の近くまで深々と被っている。
しかし、その目は男を捉えていた。
「何なんだよ!俺は何も悪いことをしていないじゃないか!なんで殺されなきゃいけないんだよ!」
男は怒りと恐怖が交った声で叫んだ。
「確かにそうですね。あなたはただ高利貸しに嵌められただけですから」
「な、なら助けt「ですが…」
男の声を少年が遮る。
「騙す方だけが悪いのではなく騙される方も悪いんですよね。…あ!そういえばあなたには妻と娘がいましたよね」
少年は不敵に笑い、男は青ざめた。
「やめてくれ、妻と娘には手を出さないでくれ、頼む」
男は泣いて懇願し始める。
「何を言っているのかがわからないのだけれども」
少年は笑いながらそう言うと言葉を続けた。
「もう二人とも死んでるのに訳が分からないことを言わないで下さいよ」
「え?、もう、死ん、だ?」
男が頭を抱えて困惑しながら声を出す。
「うん、そうだよ。高利貸しの取り締まり役の人に頼まれてね。二人とも捕まえてそいつに渡したんだ。多分だけど玩具にされたんじゃないかな、自殺したと聞いたよ」
少年は淡々と残酷な言葉をこぼす。
男はそれを聞き膝を地面に付け呆然とした。
「あれ?抵抗はもうしないのかな?まあいっか、それではあの世で家族仲良く暮らしてね」
少年は男の後頭部に銃口を突きつけ引き金を引いた。
パンッ!
乾いた音が響き渡る。
「ふ~、お仕事完了っと」
少年は近くにあったダンボールの上に座り依頼主に電話を掛けた。
「あ、もしもし。僕の仕事は終わったので後処理はお願いしますね。あと、お支払いも忘れずに。ええ、それではまたご依頼ください」
少年は電話を終えると大きく息を吐いた。
「高利貸しの社長さんは顔が怖いからな、無事に終わってよかったよ」
安堵した表情でそう言うと少年は暗闇に消えていった。
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