第41話 二人の約束③

 そんな話をしているうちに二人は部屋に帰り着いた。スウェットに着替えた二人はお茶をしようとテーブルに腰掛けた。

「なあ、もとちゃん、エンゲージリングを渡すタイミング、ちょっと考えさせてな。」

リュウはカモミールティーをもと子のマグに注いだ。マグを受け取ったもと子はフウフウと冷ましながら口にした。

「リュウさん、頑張りすぎないでいいですよ。この間の結婚記念日、すごく楽しかったです。もう十分満足です。」

ニコニコのもと子の言葉にリュウはオッシャ!と拳を上げた。


「だって六甲山の夜景に連れて行ってくれただけでも嬉しかったのに、その後、有馬温泉でお泊まりですよ。」

「それは、やっぱり六甲山の夜景のリベンジやからな。」

リュウは難しい顔でうなずくと腕組みをした。


実は結婚する前、リュウに横恋慕したもと子の先輩の策略にはめられて、リュウは神戸の六甲山の夜景デートの後、もと子に別れを告げたという黒歴史があったのだった。プロポーズを受け入れたものの、もと子から百万ドルの夜景と言われる六甲山の夜景を嫌な思い出にしたくないから改めて思い出を作りたいとリュウは言われていた。


「有馬温泉の旅館のご飯、広い座卓に食べきれないかもって思うぐらいいっぱいキレイなお料理が並んでましたよね。しかもどれも美味しかったです。それに一つの温泉地なのに金泉と銀泉の二種類の温泉があるなんてビックリしました。どっちも気持ちよかったなあ。」

有馬温泉でのことを思い出してもと子はウットリ。もと子の楽しげな様子にリュウも嬉しくなった。

「俺、次も頑張るからな。もとちゃん、待っててな。」

そう言うとリュウはもと子の横にまわり、もと子の顎に手を添えると耳たぶを優しくかんだ。

「…くすぐったい。」

頬をピンクに染めたもと子が首をすくめた。


「指切りの代わりな。」

微笑むリュウに、素早くもと子も首に手を回してリュウの耳たぶをかんだ。

「はい、指切りげんまん。」

もと子がリュウの耳元でささやいた。

お…。

リュウは急にもと子の手を取って立ち上がった。

「布団の中で続きしよ。」

恥ずかしそうにもと子がうなずくと二人は寝室のドアを閉めた。


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エンゲージリングストーリー @ajtgjm159

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