青春と足掻きとなんか情けなくって格好悪い絵面と
- ★★★ Excellent!!!
幼なじみの少女を亡くした少年が、せめてもう一度だけでも彼女に会おうと、一縷の望みをかけてダメなおじさんに挑むお話。
10代の少年が頑張る、現代もののドラマです。
ジャンルの示す通りファンタジー要素はあれども、お話としては大きな喪失から始まる、ひとつの青春の物語。
大変好きなやつでした。本当、すっごい良かった……。
大切な人を喪うところから始まる物語は、ある種「ずるいー!」ってなる部分があるんですけど(別に悪いわけではなく、ただどうしたって心を揺さぶられてしまうので)、そういうのを全部吹っ飛ばしてお釣りをくれてなんならその利子だけでやっていけるほどのリターンをくれたので最高でした。
この展開にこの結末。持ち出した物語にしっかり落とし前をつけてくれるところ。良すぎる……。
紹介文にある「ダメおじ」であるところの夜城さんが、本当にダメなおじさんなところが大好きです。
そしてそのダメおじだからこそのものが描かれているのも。
終盤の山場手前の絵面が本当に格好良くって……。
大変に面白い作品でした。
大きな喪失はあっても、決して暗かったり重かったりはしない、前へと進む姿を見せてくれる物語です。
これが6,000文字でやれちゃうのすごい。おすすめ!