第33話 こんにちは
少しずつ身体が薄れていくのがわかる。
もう少ししたら完全に消える。
天国に行くのか。地獄に行くほど悪いことをした覚えはない。
そんなこともなく、完全に消えるのかな?
考えることもだんだん散漫になってきた。
まあいいや、いい人生だったし。
ふと気配を感じ、意識を向けると、グレーの子猫が俺を見ている。
近寄ってきた。匂いを嗅いでる。
おい、やめろ!
子猫は俺を飲み込んだ。
悟が消えた夜が明けた。
もうさんざん泣いた。不思議な恋だった。
悟が望んだ幸せだ。いつまでもクヨクヨしてらんない!
でもしばらく恋なんてできないけどね。
カーテンを開け、窓も開ける。
少し生ぬるい風を浴び、思い切り背伸びをした。
「ミャ~」
庭から猫の声がする。
見下ろすと、グレーの子猫が私を見上げている。
かっ、かわいい!
私は慌てて階段を下り、庭に出た。
子猫は逃げる様子もなく近寄ってきて、私の足に身体を摺り寄せた。
迷子かな?でも首輪もないし。
とりあえず近所のコンビニで子猫用の餌を買ってこよう。
この子猫は、寂しがっている私への神様からのプレゼントに思えた。
子猫は私を見上げてニャーと鳴いた。
女子高生体内異物奇譚 栗北 花太郎 @asus1808
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます