良い点
非常に読みやすい作品でした。一話一話きちんとまとめられており、なおかつストーリーも進んでいるので気持ちのいい作品です。読みやすい理由としては、理解に苦しむ長文がなく、テンポが良いです。このくらいのペースは、とても気持ちいいですね。
また、先が気になる文章を作るのが上手で、流れも自然に掴めます。デバッグシーンや、強敵に打ち破られるところは緊迫感が演出されてました。そのような表現も、上手いなと思います。目標が最初からあるのも良く、主人公チームへの感情を入れやすくなりますね。キャラにも可愛らしさも入れているため、愛着が湧きますね。ただ最新話のように絶望への足がかりにもなりますけどね! まあ、そういう描写も大切です。作品に奥行きが出ます。
強敵の戦闘も上手く出来てると思います。あっさり気味ですが、恐ろしさも演出されてます。改行も、現状は問題ないですね。Web小説に適したやり方です。npcの使い方も良いですね。ブラックリストで、どいつが怪しいかの説明がつきますね。アロンダイトという武器も最高です。美玲から「蓮のような折れない剣」と、言われていたのに今は……こんな蓮にとって、最こうにツラい展開が良いですね。敵のセリフがタイトルになるにも良好。(エピローグ)句読点の使い方も良き。
気になる点
プロローグが余計な気がしました。(美玲が早めに、ゲームに入っちゃった方が読者を引き離しにくいですね)
上記以外は高いレベルにあると思います。
天才少女、海玲が開発したゲーム「ウィスタリア」
もうすぐ完成するこのゲーム。海玲の幼馴染である蓮は、彼女の紡ぐ世界で楽しくゲームをするはずだった……
しかし、彼女から届いた一通のメールにより、その未来は一変する。
突如現実との扉が閉じられた世界で。ゲーム内からバグを排除するため、蓮と海玲の幼馴染コンビが動き出す。
バグを排除するという、独特な設定での戦いは予想の遥か上を飛んでいく展開で、読んでいてとても楽しかったです。
幼馴染コンビだけでなく、魅力的なキャラクター達がゲームの中にはたくさん!
蓮たちはバグを排除することが出来るのか、そしてなぜバグはこの世界に発生しているのか。この世界の真実をあなたも見届けてみませんか?
天才美少女マッドサイエンティストと体力と性格の良い相棒男子、っていうSFライトノベルでは鉄板の組み合わせが素敵です。
ゲーム世界から帰ってこれないものは色々とありますが、このお話の特色は「主人公達が作った」ゲームであるということ。
そのため、ゲームの中で攻略するのと、ゲーム自体を攻略するのが並行で走っていくのが面白い作品です。
ゲーム制作者が自分のゲームをクリアするのはただのチートモノになりそうなところをいい塩梅のバランスにしているところが良いな、と感じました。
ゲーム没入系の小説が好きな方には是非オススメしたいです。
ライトなSFっぽさもあるので興味が持てそうな方はよんでみてください。
天才少女の『海玲』が開発した自作ゲーム『ウィスタリア』。その作品は数年をかけてフルダイブ式のRPGへと進化したが、ミレイはゲーム世界の中に囚われてしまう。
幼馴染を助けるため、危険を顧みず自らも突入した主人公の『蓮』。ゲーム製作者であるミレイと、原型であるウィスタリアを過去にプレイしたことがあるレンとで、バグが発生したゲーム世界をデバッグしていく――。
他の方もレビューしている通り、この手のジャンルの作品は色々とあります。
しかし、舞台となる作品を作ったゲームマスターのミレイが内部に閉じ込められ、過去にプレイ経験のあるレンが知識を活かしたり、あるいは知っている情報と食い違うバグに困惑したりというのは、個性があると思いました。
メインヒロインのミレイは硬い口調でありながら、幼馴染であるが故の親しさや、レンが助けに来るまでにやはり不安だった、という部分などで可愛らしさや魅力を感じます。
ただ、本編が始まるまでが遅いのが気になりました。レンとミレイとの出会いや、ウィスタリアの開発経緯など、どれも必要な情報ではあるのですが、プロローグが長いと本題に入る前に読者が離れていくリスクもあります。
似たような内容の作品が他にもあって、しかもそれらが名作や大ヒット作ばかりとなると、その辺との差別化や本作ならではの『強み』は特に重要になってきます。ゆっくりしている暇はないはずです。
更に、ようやく本編に入っても肝心の『デバッグ』シーンがアッサリ済んだのも惜しいかなと。デバッグはこの作品の肝であるはずなのに、大きな盛り上がりやピンチもなくサクッと終わらせたのは、強みを大きく削ぐことにもなってしまいます。
とはいえまだまだ序盤ですので、今後の展開で山場だったり黒幕だったり真相が訪れて盛り上がるのかなと思います。色々な意味でこれからの『修正作業(デバッグ)』に期待です。
近未来なVRゲームに人の意識が囚われる……というと、古くは『クラインの壺』、著名なところでいうと『.hackシリーズ』『ソードアート・オンライン』といった名前がつぶさに挙がります。ゲームでは『Death end re;Quest』もでしょうか。
有り体に言えば王道設定ですが……この作品は少し毛色が異なっています。
製作者はただ一人。
そしてゲームに囚われた、唯一の被害者。
前代未聞の危機に見舞われた幼馴染を救うべく、デバックを試みる主人公。ボーイミーツガールも含むであろう内容です。
序章部分にも尺を割かれているのは、ボーイミーツガールの根幹を提示すること、そして時系列を追って製作者が一人であることを印象づける意図があってだと思いました。丁寧な前振りはウェブ小説では冗長であると避けられますが、本作では事件発生までの情報も多分に含まれるため、本題の冒険を待望する方にも読んでほしいです。
また「天才といえど、グラフィックやBGMも一人で作り得るのか?」といった疑問はつきまといますが、VRゲームもの全般にも言える他のプレイヤーの存在を介在させないための措置と分かるため、一概に短所と言えない部分にも采配が光っていると感じました。(もっとも、公開分すべてである序章までしか読んでいない身では、眉唾な憶測に過ぎないかもしれませんが……)
物語はまだ始まったばかり。一味違うミステリアスなフルダイブゲームものの今後に胸躍らせたいと思います。