異世界路線

健野屋ふみの

夢の終わりに

この装甲を施されたボンネットバスは、異世界路線も運航している、異世界コミュニティバスだ。


わたしはバスガイドの始帆(しほ)。

そして運転手が兄の終太郎(しゅうたろう)だ。

兄が終わりで妹が始まり。なぜそんな名前を付けたのか不明だ。


「さて」

兄は巨大な盾を持ち、わたしは装甲を纏いガトリング砲を装備した。


ボンネットバスの扉が開くと、わたしたちは走り出した。

ここは魔物が蔓延る異世界だ。


森を抜けると、人が倒れていた。少女の勇者だ。

「お客様!お客様!」

わたしは一応声を掛けたが、応答はない。


兄は、少女の勇者を軽く担ぎ

「帰るぞ!」

と叫んだ。


わたしたちの存在に気付いたのか、魔物が襲撃してきた。

わたしはガトリング砲を振りかざして威嚇した。

わたしたちの目的は戦闘ではない回収だ。

にもかかわらず、魔物たちはやる気だ。


異世界の静かな森に、ガトリング砲が鳴り響いた。

わたしたちは素早くボンネットバスへと退避した。

重厚なバスの扉が閉まると、兄はすぐにバスを発進させた。


わたしは少女の勇者に回復薬を施した。

現世に戻る前に回復させなくてはいけない。


特異点に着く前に、少女の勇者は意識を取り戻した。

「大丈夫?」

わたしの問いに

「現世の言葉・・・現世の人?」

「そうだよ」

「わたし・・・戻れるの?」

「そうだよ」

「嬉しい」

夢の終わりに少女の勇者は泣いた。




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異世界路線 健野屋ふみの @ituki-siso

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