聖本物川語り邪聖体と五つの瞳編『一つ目』

ウゴカッタン

一つ目

 人類の祖である巨人伝説、そのフットプリントをたどっていこう。

踏み固められた大地、もとは地下マントル深くにあった、それは激情のマグマたぎり続けるマジカル、祖よりもっと深きところに深淵があり覗くものはまた深淵に覗かれている、大海を渡るクジラの尾びれにも触れえぬまま巨人は母なる星のヴァギナから活火山! とはじき出されて深海海嶺深くより新たに生まれる大地へ、ヘブンズリードリーマー、天国の夢を見て神を呪った。

 巨人がのたうち回り終えたころには世界が出来ていた、それは報復である天にあまねく星たちに犯された傷の痛みが溶岩となって噴き出した、どこにも神話性などはない、それは星々という名の強姦魔と身重の母星の上下関係、どこにも神話性などはない、この世界が生まれるはるか前に、すでに

 神は死んでいたのだから。


 ブタヤのラビは聖典に手を置いてブタヤ教徒の前で語り終えると、

「やはり我々は冒涜! オークは女騎士を犯すために生まれてきた星の子なのだ!」いの一番イノブタおちょこ口がエロス、「なにを聞いていたのですか!? 我々は巨人の脇腹の骨を破って生まれたアダムの子! 報復は匍匐前進に等しい!」神話などない、神話などないというのにこれである、「われわれブタヤ教徒はまさにオークの神性を示しておりオーク列伝を! 巨人のフットプリントをふたたび! 大地をわがものにする野心こそが! 芽キャベツぅぅぅう!!」毎日のように罵詈雑言に等しい芽キャベツの相手をしてきた農夫であり鉱山夫であり工兵、「ラビィィィ! 祝福を! 汚ブタに祝福を!」それは疲れである!

 「祝福あれ仔豚たちよ、のろわれしものたちよ」


「ラビよかったのですか?」

「善し悪しの問題ではないのだ、皆、苦しんでいるそれに大差は無いのだ、我々が巨人の報復を叶えず宿業よりトンカツになることKGBィ府はそれをのぞんでおる、だがどちらのいいなりになってもいかぬ、我らはフォロワーとアルファの関係にあってオメガである、いやオークじゃったな」「ラビ」

 当の昔に気付いていたことだ、ブタの群れ成れの果てオークの群れの中、技術継承が進まず一部の変態特化したオークたちが産業を回して、インテリゲンロンの体育会系オークによって回される政府広報組織などは今でも正統なるオークの血筋を保つために邪聖体を孕ませて子々孫々にオーク文化を根付かせようと創作に躍起だ。

 しかもそんなこと私には微塵も関係が無かった、私は嘘つきだった。

「ではまた第二金曜日に法話をおねがいします、そういえばこの前の討論会、文字おこしが終わって会誌が回ってきましたが、目を通されましたか?」

「いまさらワシが口出しすることはない、どうあがいてもオークの歴史などは為政者のためにある讃美歌だ、なんどやってもそうだった誰もが挑んだがそうだった、我々はマスメディアの野菜くずを喰らって今日まで来た、明日も同じだ」「ラビ」

 ブタヤ教徒が祈るたびにわたしは打ちのめされた。

 ブタヤ教聖典はわたしの二次創作に過ぎなかったからだ。

 それよりもひどかった、わたしは原作に忠実では無かった、一切の解釈をのぞまなかった、わたしは文化の破壊者だった。 それでも

 「おおブッタよ、我らが食材がために今日もそんみ捧げるジューシーよ、共食いを許されたあなたはすべてにおいて我々を満たす、ジューシーデリシャスマイレージ」

 それでもこの罪深い同族喰らいは神聖な行為に変わりはなかった、尊い自己犠牲によって回る経済、満たされる食欲、性欲、睡眠欲、だれもこの誘惑には勝てなかった、だれもが誰かの借り物で、それさえ危うく簒奪者。

 尊厳を奪われたのは女騎士ではない我々、オークのほうであった、誰ともつがうことが出来ず、老いては肉になりさがり、そうだったあの星は、あの星は無事だろうか? 「マツヴィキは生きているか?」

TSは報復の連鎖から抜け出したか?


 それは希望だったか?


 聖本物川語り”大乱”邪聖体と五つの瞳


 一つ目編『ザ・グレイテスト・テキステイメントジャーニー』


「ラビ! カテドラルは危険です! ブタコンベかブッタゴヤに!」

「あの星じゃ! あの星が流れた! 聖本物川が帰られたのだ!」

それも私の創作だった、だがそれには史実があった、

いつだってモノリスに書き記されたタイムラインの中で育まれてきた関係性、そこに意味を見出して継続したブタヤ教徒たちの信心はたとえ星ひとつハートひとつでも見逃さなかった、それは反応、我々がまだアクティブな関係を持って同じ問題に向かっている証拠だった、だが確証はない、いまやブタヤ教徒は食材として暴徒に食われる運命にある、食べられるために生まれたオークのことなど、だれが目にとめるだろうか? ブタヤ教を信じるということは自ら肉屋に身を捧げるということだ、誰も食わないような貧相な飼料でガタガタになった歯ではどのみち長くはないと、ゴミを虫を食わされ続け、誰も食わないクソさえものどに通した、クソ喰らえだったそれが私たちの存在意義だった、だがそれも今日で終わりだ。

「明日死ぬくらいなら今日死のう! 一瞬またたいて終わる大地とまぐあわざる星屑たちよ! 輝いて終えよ!」

 私の祈りはモヒカぁンイノブタオークマンには届かなかった、その手にしたナタは確実にわたしの食材を手にするだろう!

「ヒッハアアアア!!!! 汚ブタは生姜焼きだぁぁぁぁ!!!!!」

「ラヴィィイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!?!?!?!?!?!」

激昂は邂逅により遠のくものだ。

するどい蹴りがモヒカンイノブタオークマンに突き刺さり活きじめにした。

「あ、クリーニング以来ですね」

「!?!? こ、これはもしやマツヴィキ!? ラビ!

 ラビ!」「分かっておる! ブタコンベへ!!」

マツヴィキ一行は栗色の髪したボーイッシュな肉付きのいいマツヴィキを筆頭にして、猫の着ぐるみに食われてるグレンニャー、心なき書架の悪魔オムラケンなど、たまたま居合わせただけで特に面識のないタイムライン上の希薄な関係性をかろうじて創作されることでのみを担保として存在していた。 それは非常に希薄な概念であるが、そうであってもここまで書き連ねた偽典において、そうラビにとっては世界の中心そのものだった。


 カタコンベに集ったマツヴィキとラビはまだ意味のある話が出来るのかと、女騎士の強襲に関しての話をした、女騎士は依然として野蛮な騎士物語を信じておりオークの屠畜と殺す位なら犯されようの精神で侵略者のレイプは良いレイプ、オークのレイプは尊厳凌辱と信じて止まない、だがそんなことはどうでも良かった、それは一部のタイムラインに過ぎず目をつぶってしまえばどちらも悪だ、正義の対立などない、ただ一方的に悪を断罪するためだけに殺し文句を得意げに披露してるお花畑の惨状だ。

「流浪の民の話によればな」

女騎士は完全に独裁者のしもべだった、私と同じ文化の破壊者だった、殺す位なら殺されよう民族浄化を促すためのフレーズを自分に課すのではなくオークに課した、一人でも競争原理の中にある弱者を自分の言いなりにして食材をさせるために女騎士は料理人となったそれを食べるのは独裁者だった。

 そんな話をした、だが反応は振り向けば塩の柱を産むと知れたゆえに、

「お前さんがたの行程に支障をきたさなければよいんじゃがな」

「はあ」

捧げてきた人生のすべてがそこで終わった気がした、誰も私を許さないのだろうわたしのついた嘘は何十億もの同胞を独裁者の腹を満たすためにイケニエにした。

 従順であれ支配者に甘くあれ!あめえ安保が出来上がる!あばずれの声を聴け!常任理事国を手放すな!時代に頼るな!「今っ赤貧の~恨みを晴らせ~! 勝ち取る全てに死を!マシンパワ~巨大な敵も履帯の染みに~勝ち取る絶対者のゼット!ゼータウォーズ!」

わたしの恥だ! 私はゼット戦士でありゼット世代であり額にゼットを刻まれた呪われし仔豚だ! マツヴィキよ私を殺せ! 私こそがこの時代を作った! 令和を生み出した罪深きラビだ! 独裁者に従うゴーレム! もはや耐えきれない!

「まああと300ページは余裕で続くんだがな」

「いたんですね」

金髪ツインテールロールスタイル真紅のスポーティードレスをした少女、それは八年前に描かれた聖本物川に等しく、それは、それは、おいぼれの夢だった。

「おお!なんと! 遂に探求の果て聖体を見出したのじゃな!」

誰の声も聞こえなかったささやくのは天使の歌声のみだった!

この時を許された! わたしは両の手を上げて天を仰いだ! 犯されざる者、概念の結実が果てにありし真紅の華、赤く染められた鉄の果てにある火星の王よ! かの聖女こそが! 川の流れの果てを知る! わたしは! 創作を終えたのだ! あまりにも長い戦いだった! あまりにも多くの死だった! 降る雨は全て突き刺さった! だがそれは全て意味があった! この瞬間の芽吹きの為に! 萌出づる国の春の華よ!

「なにかボーナスでもでるんですかね」

マツヴィキよ! その働きは全てを変える! 独裁者よ震えて眠れ!

「タロットは聖本物川が使った場合、威力が段違いにあがるんじゃ」

その設定はタロットを使うことで進行を楽にするというシステムメッセージであったが、そうであってもこの言葉を口にすることができるのは幸いである、もう創作しなくていいただのNPCとして反応を示すだけでいい、プレイアブルキャラクターが訪れた時になぜNPCの村人はもてなしきちんと言葉を返すのか!? それはほかならぬ神であるプレイヤーのタイムラインに触れたことで実況配信者の注目が発するその一瞬きらめきがためにモブキャラは! ラビは生きてきたからである!

「・・・・・・」

マツヴィキたちをもてなすためにウォッカを、兵站からくすねてきて乾杯した、Zマークのついたウォッカは臭い独裁者の血の味がした。


しばしまどろむ、アルコールのドがきつい中で微睡みは渦となっていくばくかの化学反応が脳裏からイベントを察するだけの酔いを産む!

「そういえば」

わかっているゴーレムはどうしたのだろうか? であるだろう!

わたしは無事に修理した、あのゴーレム、ナガイケは概念戦闘におけるサポートスキルを発揮して聖本物川の蹴り技を連撃にかえる! 威力は無敵無双! もはや時代遅れの在庫処分が軍隊など足元にも及ばぬ大戦果! だがナガイケはナガイケは!

時代に翻弄された。

 かわりの詫び石として馴染みのないゴーレム二号と三号がマツヴィキ達に配された、それはオーク重工の渾身と献身でなりたつものであった、質のいい赤土からしか長髪イケメンは作れないミッションディスクもオトメロチックが分かるものが少なくBLに腐る先に待つのは推しはかることの出来ぬクソデカ感情!

おお見よ! ゴーレムと並ぶ聖本物川一行の雄姿を!

「仮にも人型ですし」

「人類未踏の大地やらに行くんだからなオークは船倉スタッフだろ」

「船旅になるのか えっと船は」

外洋に打って出て女騎士に戦い強いる独裁者を打ち破る艦などはなく、泣く泣く

「だめじゃん」

「鎖国がここまですすむとはなあ」

グレンニャーが嘆くのも無理はない、オークはフィクションを望んだ、結果として文明はその針を止めた、一部の変態技術者のオナニープレイだけでは工業的立脚点を経済中枢にベクトル舵取り任せることなど出来なかった、かくて論文ばかりがあっても実体経済の中の再現性は他の研究機関では行われず全て文明の知識の髄は古文書と化し科学とは考古学と等しかった。

「船を手に入れるんだよ あくしろよ」

わたしは聖本物川が中から顔をのぞかせる聖櫃が本物川のジャーニートランクがために新艦船の手配を進めた。

「さいしょから川さんがやればよかったのでは」

「wotでいそがしかったんだよ」

ラビであるわたしは様々な障害を乗り越えオーク重工から聞き出した新艦船の可能性について洗いざらいマツヴィキに話した、それは聖本物川の目が光るからにはやらねばならないキャンペーンイベントであった。詫び石はむしろプレイヤーが払ってでもSSR聖本物川をゲットする心持であった、完全に聖本物川語り運営の犬であった。

必要なものは博物館の収集品、レトロもかき集めれば使えるものになる、新艦船とは名ばかりの産業革命以降が模造艦船をこさえる算段となる。

「博物館といえばニューオークのほうですかね?」


一行は進んでいく、やがて目的の場所にたどり着いたのち


メトロポリタンオークックに収められた模造艦を見、

「これかなり近代に近いですね技術レベルはもう外輪船を追い抜いたかもしれない」

マストとエンジンを持つ近代化したスクリュー推進艦船の

設計図を求めて

「これのエンジンと設計図のコピーが地下にあるはずじゃ」


マツヴィキ達が地下での死闘か大きな物音がした、

「ラビ、大丈夫でしょうか?」「ゆくぞ見届けるのじゃ」

その先にあったのは艦船のエンジン部

マツヴィキ一行はエンジンなどを手に入れた!

「などって」

などの便利さは置いておこう、とにかく

新艦船を作るのでラビは忙しくしていた。


NPCとして働ける喜び、モブとして代謝される犠牲者としての立ち位置からまるで解放された足並みでオーク重工はせっせと働き

騎士団領ともなる独裁者のフィルターバブルがある

北西の島を目指す丈夫な船を建造する。


「送迎式までそうそう遠くない、我々は聖本物川を見送る

 そして女騎士とオークの世界から解放される

 解放された後わしらはどうなっておるんじゃろうか?

 だがそれはもはや先に話じゃ」


マツヴィキ一行が聖本物川の働きで、

邪聖体の五つの目の一つ目を手に入れてから

全ては果て無き騎士物語か、

はたして偽聖典が紡ぐ物語か?

その命運を知るのはもはやラビのうかがい知るところではない。


磯でアマに振舞われる磯焼きを食す本物川一行も、クレセント、月の傾きを夜空に見つめて。


「送迎式のシャンパンガトリングじゃ!」


新艦船は進む、オーク未踏の大地

騎士団領ヨクシラナイトへと!


オークのラビは静かに水平線を越えていく船影を、

多くのオークと共に見守った。

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