本当に説得力のあるバカ

 バカ男と付き合いながら、人魚を飼う女性のとある日のお話。

 すこし不思議な、ファンタジー的な要素が心地よい掌編です。
 人魚が出てくるけど手触りとしては現代ものに近いかも。

 バカ彼氏が本当にバカなのがよかったです。
 本当に「バカだーーー!」って言いたくなっちゃうこのバカっぷり。好き……。

 対して主人公はまとも、なようでいて、でもそんなバカと付き合うだけあってやっぱりそれなりというか、なんかいろいろゆるいのが最高でした。
 こういう人が視点保持者の一人称体は、読んでいるだけで独特の気持ちよさがあるからたまりません。

 もちろん、もうひとりの登場人物たる人魚の知能は言うに及ばず。
 三人揃っていろいろバカ。最高。

 サクッと読めて心地よい、でも心に深く印象の残る掌編でした。