13日後に殺されるVTuberは事故物件を凸配信したらしい/第44回横溝正史ミステリ&ホラー大賞挑戦作

姫宮るり♂

第1話 エクレアとショコラ 

カクヨミ初投稿です。人生で初めて小説を投稿しました。

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第43回横溝正史ミステリ&ホラー大賞、目指しましょう!


追記、台詞の読み方

キャラの本名/源氏名「セリフ」と執筆しております。


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とぅく♪とぅく♪ とぅく♪とぅく♪


容赦ないスマホの着信音が、私の浅い眠りにとどめを刺した。


ヒグチ/エクレア:「はぁ~~う、もうナニ?こんな時分に連絡なんかして。」


貴重な睡眠時間を邪魔されたせいか気分が悪い。生理前でお腹も痛かった。


まさか朝なのかと思ってカーテンを開けてみたけれど、やっぱり夜らしい。


おおかた予想はできる。こんな時刻に気遣いもなくチャットしてくる存在は彼女しかいない。


オリヴィア/ショコラ:「アロー!エクレア!!私、すっごく面白い企画を思いついちゃったノ!今から通話できる??」


やっぱりだ。フランス暮らしの同期オリヴィアからだろう。源氏名はショコラだったかな。日本語専攻のフランス人で、大学生だったはず。寝ぼけて記憶が定かでない。


二度寝しようとベッドに横たわりながらも、少しだけならいいか、とチャットをかえす。


フランスの現在時刻は確か、午後の8:00頃だろうか。夕食を食べながら連絡しているのかな。


ヒグチ/エクレア:「オリヴィア、どうしたの?日本は午前の4:00なのよ?とっくに就寝時間。それに、私はヒグチよ」


オリヴィア/ショコラ:「でもエクレア!私達はVTuberなんだヨ!源氏名で呼び合おうヨ!ほら、ショコラって送ってヨ!」


深夜一切の気遣いもない彼女の連続送信は、私を呆れらせると同時に、何かを諦めさせた。


ベッドから立ち上がり、一人暮らしのアパートの中を歩いてべランダへと向かい、電子タバコを吹かす。


ヒグチ/エクレア:「分かったよ、オリヴィア。で、ショコラちゃん。どんな企画なの?」


オリヴィア/ショコラ:「う~~~ん、チャットだと面倒だから、通話でお話したいナ!」


ヒグチ/エクレア:「だめだめ。国際電話になると通信費が高いから、チャットだけでね。」


オリヴィア/ショコラ:「アハハ。エクレア、国際電話は着信でも料金が掛かるだヨ!」


ヒグチ/エクレア:「どっちでもいいから、速く終わらせて寝かせてよ。お願い。」


この際、オリヴィアのチャットは適当に流しておいて、眠ってしまおうとも考えた。彼女はお喋りなのだ。


オリヴィア/ショコラ:「もう!エクレアったら冷たい!実はネ!渋谷にある事故物件の動画を中継して一緒にライブ配信したいノ!出来ればメンバー全員で配信したいナ!他の皆と事務所にはお話を通しているから、後はエクレアの同意だけ!ネ!ネ!やろうヨ!」


ぐぬぬ、何やらとても面倒な企画を提案してきたな、と思いながらも彼女の企画に目を通すことにした。


渋谷にある、事故物件?一体どんな建物なのだろう。怖い映画とかは苦手なのだけど。後で後悔するかもしれないが、適当に「うん」の二文字を押すだけにした。


オリヴィア/ショコラ「それじゃあ、日本時間の午後7:00にウェブ会議だからネ!こっちは午前11:00、よろしくネ!」


やっと終わった一方的なやり取りを終えた後、私は台所に行き独り言を呟きながら、彼氏の軽食を作ることにした。


ヒグチ/エクレア:(今日もテレアポのパートか。VTuber、配信してなきゃ普通の女の子だもんな。労働はつらい。)


現在時刻、04:30分。事故物件、訪問配信前日早朝。


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13日後に殺されるVTuberは事故物件を凸配信したらしい/第44回横溝正史ミステリ&ホラー大賞挑戦作 姫宮るり♂ @Ruri_Novel

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