物語を読む醍醐味は?
一つに、日常から離れて、ふっと非日常に連れてってくれる感覚を味わうこと、です。
その非日常に連れてってくれる手腕が半端のない作者様です。
主人公が訳の分からないまま、朝起きたらいた世界。───そこは、知らない部屋。
ここはどこなの?
日本語は通じるのに、日本じゃないようです。
「ソト」の話はするな。危ないから。
───何が危ないの?
自分が当たり前だと思う日常が、ずれる。そのずらし方が絶妙に上手い。
そこかしこに不穏さが漂います。
───ここはどこなの?!
何回も読者は叫びたくなるでしょう。
時々差し込まれるファンタジーな風景がカラフルで楽しいイメージです。
これは現代ファンタジーで、本格SFで、哲学で、エッセイで、………ホラーです。
非日常に、連れて行ってくれますよ。
ずっと先まで読み進めることをオススメします。
山羊とねえ、冷蔵庫が、抜群に面白いんですよ……。ふふふ……。もうね、読んだら、頭から離れなくなりますよ。
この物語は「カレー」のお話です!といっても思わず納得してしまいそうな「カレー」大好き主人公の「SF小説」です。
ま、最初、読み始めると「ありがちな異世界行き?」と思いますよ。思います。だって、そういう風に「作者」が意図的に書いてくるですもの。でも「このSF小説」は一味違います。
主人公が踏み入れた「異世界?」に漂う「不気味な違和感」、そして、「不気味な現実世界」との一致項目。この2つの糸が絡み合って「物語の下地」を作り上げていくのです。そして「徐々に出来上がって」明らかになっていく「不気味な世界」。そして、得も言われぬ恐怖。
そうです、これ、私、130話近くまで読んでて気がついたんですけど「ホラー」なんですよ。「現代ファンタジー」というより「ホラー」。長編「ホラー」が好きな読者が大好物な「世界の広げ方」をするホラーなんです!
私は、このレビューで強く言いたい!この小説のタグに「ホラー」をつけてくれと!
大枠の1章が抑揚のない言葉で語られているかのようにあっさりと綴られている様子が主人公の心境とシンクロしており、思わず惹きこまれていきます。
また、1話が1000文字以下で整理されているので、1話1シーンのように括られているのが、読みやすさの手助けをしてくれます。
とても丁寧に描かれた作品なので、短い中でも主人公がどのような人物なのかを知るには十分すぎる内容となっています!
そして2章からがタイトル回収なのですが、これまで淡々と進んできた主人公の心情のブレがとても見事に描写されており、緊迫した空気が・・・。
そこでもすんなり受け入れるようなことはなく、ちぐはぐに重なった会話を交わす様がとてもリアリティがあり、読み進めやすさと相まって手が止まらなくなります!
良い意味で期待を裏切ってくれるとても興味深い作品です!みなさんも一度ご覧になってはいかがでしょうか!