作戦の推移

 この日、タイの空軍基地からから出撃したアメリカ空軍のファントン飛行隊がタン・ホア橋へ向かっていった。

 特別な改造は無かったが装備が違った。

 レーザー誘導爆弾、ペイブウェイを搭載していた。

 今後世界の爆撃のスターとなる爆弾がベトナムで使われていたのだ。

 誘導機からの照射を受けた爆撃機は爆弾を投下。

 目標に照射されたレーザー光を頼りに爆弾は誘導され、見事命中タン・ホア橋に命中。

 土台を破壊し、使用不能にした。

 他にもテレビカメラ搭載のウォールアイなど誘導兵器が使用され、難関とされた目標を正確に破壊。

 今まで千回以上もの爆撃を行って破壊できなかった目標を破壊する事に成功した。

 これがレーザー誘導兵器の初陣となり、この成果を見て開発と発展が進むことになる。




 作戦全体も順調に進んでいた。

 しかし、北ベトナム軍の戦意は衰えず、DMZ付近の部隊が攻勢を開始した。

 後方からの補給が無い今、せめてDMZ付近の敵部隊だけでも掃討しようと考えての事だった。

 だが、この攻撃は予想以上に上手くいった。

 南ベトナム軍の士気が低く、潰走したためだ。

 そのため、前線から支援要請が求められたが、司令部は即応出来なかった。

 ラインバッカー作戦では分刻みのスケジュール、計画が立てられており、予備の攻撃隊は無かった。

 そこを助けたのは、日本の乗鞍級軽空母に搭載されていたハリアーだった。

 ハリアーは英国で開発された短距離離着陸機だ。


ハリアー

https://kakuyomu.jp/works/16816927862107243640/episodes/16818093086990215246


 元々は核戦争で滑走路を破壊されても機体と同じサイズのスペースさえ有れば離陸できる機体を、というコンセプトで開発された。

 そのため、当初は空軍が運用する陸上機として考えられていた。

 同じような境遇、飛行場適地が少ない日本も、狭い場所、整備されつつある高速道路の一角から離陸できる機体を欲していた。

 早速ハリアーを輸入し性能に満足してライセンス生産を始める。

 その時、大和の飛行長がハリアーを見て、弾着観測機に使えないかと考えた。

 ヘリが弾着観測を行うが、戦闘機が飛び交う中では機動性が劣るヘリが生き残れるとは思えなかった。

 だが亜音速機とはいえ、八〇〇キロ以上のスピードが出せるハリアーなら超音速機の飛び交う戦場でも使える、生き残れる可能性が高い。

 大和の後部飛行甲板からでも十分に使えると考え導入を求めた。

 この話は進められていたが、軽空母部隊からも導入を求められた。

 大戦後、信濃などを中心に大型空母の維持、整備を行っていたが、太平洋戦争の教訓、船団護衛のための小型空母多数、乗鞍級の整備をしていた。

 当初は、信濃の補助として艦載機も運用していたが、艦載機の大型化が進み着艦できなくなり、ヘリ空母として使用されていた。

 だが、限定的とはいえハリアーなら固定翼機として防空や攻撃が出来る。

 早速軽空母に搭載し実証試験を行い、好成績を収めるとハリアー部隊が編成され、搭載された。


 乗鞍級軽空母

https://kakuyomu.jp/works/16816927862107243640/episodes/16818093086989436872


 そしてラインバッカー作戦で投入され、実戦における即応能力を見せた。

 要請を受けたハリアーは沿岸を航行していた空母から出撃。

 すぐさま陸上に到達し侵入してきた北ベトナム軍へ攻撃を実施する。

 だがハリアーの真価はここからだった。

 臨時に陸上に基地を設営すると、母艦に戻らず、そこからハリアーは出撃。

 短時間で戦場で戻り幾度も北ベトナム軍に攻撃を仕掛け、搭載量の少なさを出撃回数で稼ぎ、近接支援任務を全うし、北ベトナム軍を抑え続ける。

 その後、本来の任務を達成、補給線を破壊した空母部隊が駆けつけ、北ベトナム軍地上部隊に攻撃を開始、

 近接攻撃を行い撃破した。

 作戦は圧倒的航空戦力で見事に成功したが、南ベトナム軍が苦しいときに航空支援を行い即応性を見せたハリアーの評価が高まり、更に購入する国々が増えていく。

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