あとがき

 言わぬが花とは思いつつ、もう3年経ったので『白佳』の中身を書きます。

 エニシはいわゆる魅了の術でしたが、もうひとめぼれしていたタカ少年には少しとも効きません。彼自身はもちろん主人公・マティアも、そのことを、彼が死ぬ直前まで知りませんでした。

 あらすじ通り、マティアは彼をノアの捜索のための手伝いにします。なぜ彼かというと、人間の手伝いが必要であるからで、最初に見つけたから。なんならこれからも仲間を増やす予定。しかし、タカ少年は自分だけがいいから、精いっぱいやるから他の人を呼ばないでくれと懇願します。すごくあけっぴろげに言うと、主人公も戦うソシャゲの初期キャラ縛りです!!!

 かくして旅は道連れ、多くを助け、くじき、多くに助けられ、くじかれまして、そのあいだ仲間は彼ひとりきりでした。タカ少年、頑張りました。ついにノアを発見します。これはいわゆる人工の理想郷です。欲しかったのは文明のある孤独であり、それを奪い合う戦いだったのでした。

 けれど、最後の最後でタカ少年は犠牲になります。そして、エニシの切れる感覚はなくて、マティアは初めてあの術が効かなかったことに気付きます。タカ少年はまったく本心から、マティアにべたぼれで守っていたのでした。

 彼女の中で、彼の作ってくれたご飯が懐古されます。自分が彼に抱いている気持ちとかも。あとは書いた通りに進み、お船はなくなってしまいましたし、マティアは普通に生きていくしかなくなってしまいました。別れ、理想郷を失ったけれど、彼女はもうただの人の世の人になるしかありません。しかし彼女は不死身なので、それが永遠になってしまうというのが、このお話でした。

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白佳 和菓子辞典 @WagashiJiten

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