番外編:みんなで箱根に温泉旅行に行こう
さてさて、イアンパヌとチニタと言う2人の妻と男2人に女4人の合計6人の子供と一緒の生活は騒がしくて楽しい。
しかし家族が増えれば当然色々なものの消耗も激しくなる。
鹿の骨や角などは自給できるが石器用の石はそうは行かないんだよな。
「ふーむ、そろそろ石器用の黒曜石の予備も少なくなってきたし、箱根まで取りに行くか」
双子が俺に聞いてくる。
「とーしゃどっかいくのー?」
「とーしゃどっかいくのー?」
俺は双子の頭をワシワシ撫でて答える。
「ああ、船で箱根ってとこに行ってきて、肉を切ったりするのに必要な石を取りにな」
双子が顔を見合わせている。
「いしー?」
「いしー?」
そしてチニタの娘がそこに加わる。
「いしー」
イアンパヌとチニタが笑いながら言う。
「そうよ、お肉をきるのに必要だけどだんだん、切れなくなるから新しい石が必要なのよ」
それから俺は少し考える。
「どうせならみんなで行くか」
やはりイアンパヌとチニタが笑いながら言う。
「それはいいですね」
「箱根には温かいお湯の温泉があるとか」
それを聞いて双子+チニタの娘の三人が喜んでる。
「あったかー!」
「あったかー!」
「あったかー!」
2歳ほどの末娘がそれを真似する」
「かー!」
本人には意味はよくわかっていないと思うけどな。
うーむ箱根の山道はちいさいこどもにはちょっと大変だと思うけど、ずっと村にいるのもあれだしな。
「じゃ、まずは色々準備をしないとな」
まずは村長のウカエチウに家族で箱根に行くことをつげておく。
「ちょっと箱根に家族全員で石を取ってくるついでに、温泉に入って来るな。
心配しないでもこの村にはちゃんともどってくるぞ」
ウカエチウはこくっとうなずく。
「分かりました、旅の無事をお祈りしておきますね」
「ああ、そうしてくれると助かるよ」
そして箱根で黒曜石と交換するための塩や貝殻の腕輪、干した海藻、干したイカや魚などを詰めた土器に革で蓋をして紐で縛り、途中で飲むために真水を入れた瓶も、帆付きカヌーに乗せて皆で背負子や背負いかご、背負袋を背負って、ネコ車も積んで出発する。
基本的に本来女は集落からそんなに離れることはないんだが多分大丈夫だろう。
そして以前、箱根に向かった時は乗っていた4人で手漕ぎで進んだから大変だったけど、帆があるとやはりだいぶ楽だ。
とは言えやはり片道で海上を2日、陸路を1日、箱根の村に一日滞在するとして往復で1週間くらいはかかるはずだが。
皆で櫂を漕いで多摩川河口を離れ帆が風をはらむと東京湾を南下していく、やはり三浦半島の先端あたりで明編んでカヌーを浜に上げて一泊する。
もちろん野宿だが、簡単なシェルターぐらいはをつくって風などを防げば全然問題はない。
で、翌日三浦半島からずっと西に進めば箱根の登り口の小田原あたりに到着だ。
やっぱりカヌーを皆で陸に上げて、ここでもう一泊しそれぞれが背負い籠や背負袋に土器を入れたりして山道を登っていく。
「お前ら大丈夫かー」
双子+1はまだまだ元気だ。
「だいじょー」
「だいじょー」
「だいじょー」
一方イアンパヌとチニタはちょっと大変そう。
なんせ子供を連れているからな。
「このあたりでちょっと休みましょうか」
「そうしましょう」
俺は二人に頷く。
「ん、無理は禁物だし一旦休むか」
「お母さん、変わる?」
上の娘はまだ大丈夫そうだな。
「あらあら、そんなに心配しなくても大丈夫よ」
イアンパヌはそういうがちっちゃい子供に歩調を合わせたりするのはやっぱり大変だな。
それに対して息子たちは心配そうに言う。
「無理しないで休んだほうがいいよお母さん」
「そうだよ、ちゃんと休んだほうがいいよ」
そんな感じで何度か途中で休憩をはさみながら、山道を登っていくとようやく集落についた。
「ふう、だいぶ久しぶりだな」
みんな背中の荷物位をおろして地面に座り込んだ。
流石に走り回りたい閉じ頃の双子たちにも山道はだいぶ大変だったらしい。
「たいへーん!」
「たいへーん!」
「たいへー!」
そして末娘がやはり真似をする。
「へー!」
でしばらく休んだあと、ここの村長のところに皆で向かった。
「お久しぶりですね。
今回は家族でいらしたのですね」
村長のアペフチも元気そうだ。
「ああ、アペフチ、久しぶりだな。
今日はまた石をほしいのとみんなで温泉に入らせてほしいんだ」
アペフチはニコリと笑って頷いた。
「はい、どうぞ皆さん湯を使っていってください」
「ありがたい、それが楽しみでみんなできたんだ」
以前にもきたんで今回は案内は不要とみんなで温泉へ歩いて行く。
比較的大きな温泉は家族全員が入れるくらいの大きさが有って水面からは暖かな湯気が立ち上ってる。
「よーしお前たちみんな服を脱いでから入るんだぞ」
双子が元気良く答える。
「わかったー」
「わかったー」
そして、んしょんしょと服を脱ぎはじめる。
「わあったー」
とチニタの娘が双子の真似をして服を脱ぐ。
「景色も綺麗だし、いいところですね」
「そうですね」
イアンパヌとチニタも笑いながら脱ぐ。
「ぬぐのー」
と末娘が脱ごうとするが上手く脱げないのでイアンパヌが服を脱がしてやっている。
「ここの人たちは温かいお湯に毎日入れるなんて羨ましいな」
「そうだね、お湯をわかすのは大変だし」
そうなことを言いながら息子たちも服をぬいだ。
俺も服を脱いで温泉に入る。
「あー、やっぱ温泉は良いな。
山を登ってきた疲れが溶けていく気がするぜ」
イアンパヌとチニタも温泉に入ってご満悦のようだ。
「ほんと、なんかお肌もすべすべの筒鶴になった気がするわね」
「たしかにそんな気がしますね」
双子たちはパシャパシャお湯を掛け合っている。
「えーい」
「えーい」
「こら、お前たち他の人の迷惑になるからやめなさい」
双子たちはテヘッと笑ってぺろっと舌を出してお湯の掛け合いをやめた。
「とうしゃーごめんしゃ」
「とうしゃーごめんしゃ」
「わかればよろしい」
チニタの娘は珍しく双子と一緒の行動ではなくのんびりお湯に使っていたのはちょっと以外だった。
そして当然全員全裸だが縄文時代だからということもあるし二人は妻だし子どもたちは小さいこともあるから特にみんなに何かを感じることもないぞ。
カヌーと歩きだから大変ではあるけどたまには家族で温泉への慰安旅行も悪くないよな。
住んでる家ごと縄文時代の日本に転移したんだが案外住みやすい件 水源 @minamoto1616
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます