おわりに

 いやー、お疲れさまでした!


 って、自分に言っているのですが、これけっこうな分量になりましたね。ただ、ほんとうはこの字数なんかじゃ全然足りないのです。足りないに決まっとろうが!


 ぼくは先日「自分がもらったものより大きな幸せを他者に返したい。だけどまだ、もらったものの方が多い」とツイートしました。それがこれですよ。皆様へのお手紙の内容そのものですよ。ぼくはたくさんのものをもらってきました。喜び、おかしさ、愛おしさ。だけどそれらひっくるめて、「友達」というかけがえのないものをもらってきたのです。

 私は去年の11月で40歳になりました。40歳なのに「友達」だなんてププッ……と笑う人もいるかもしれませんが、これってけっこう得がたいものですよ。そして人生をとてもとても楽しくさせてくれる。すばらしいものなんです。だから私はこれからも、同じ時代に同じ「小説」という趣味をもった友達と仲良くしていきたいなと感じているのです。


 例として5年前を挙げましょう。このとき私は小説サイトの存在も知りませんでしたし、SNSを触ったこともありませんでした。(この日本に作家志望のやつらがきっといるんだろうなー。でも見たことも会ったこともないな。どこにいるんだ、そんなやつら?)と思いながら、黙々と執筆していました。だけどほら、やっぱりいたじゃないですか。「そんなやつら」が。やっぱりね。


 というわけで話を戻すのですが、今回の企画は「恩返しだ! ババーン!」みたいな企画ではありません。こんなのは恩返しにならないし、そもそも恩返しとかそういうもんじゃないと思う。これはね、ただぼくが、書きたかった。書きたくて書いた。それだけなんです。


 これから死ぬまでに、何文字をこの世に残すことができるかなぁ。

 字数を残したとしても、そのうちのほとんどが空に消えてしまうんだろうなぁ。

 もしかしたらこのお手紙も、誰にも覚えてもらえず、消えていってしまうかもしれない。


 だけどね。いいんですよ。


 消えていってしまう言葉は、無意味じゃない。

 消えていってしまう言葉がかつて存在したこと。

 それだけが、なんかいい感じじゃないですか。しゃぼん玉は消えるけど、みんなうれしそうに吹きますよね。言葉も、そんなもんじゃないですか。


 あなたたちと交わした、ばかなやりとり。それから、真剣なやりとり。

 それらが集まって、木野かなめの人生をつくってくれた。


 ぼくはね、そんな気がしますよ。

 サンキューですよ。



                               おしまい

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Crescent Moon & SUB PLOT 木野かなめ @kinokaname

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