夜は明けてゆく(夢見里龍さんへ)

夢見里龍さんへ


 おお……。


 ついに来てしまいました。今回のお手紙企画の最終回。夢見里さんは気づかれていたかどうかわかりませんが、これはアイウエオ順で書かせていただいていたのです。そして順番として最後に書かせていただくのが、あなたへのお手紙です。最終回なのでちょっと長いかもです。


「かなめん、かなめん! この人の小説読んでよ!」


 ある日、松宮かさねさんが弾んだ声で私に告げました。彼女はファンタジー小説を愛しているのですが、その松宮さんが紹介してくれたのが、あなたの「季節殺し」だったのです。私はあなたの小説に遊びに行く前、まずはあなたのTwitterアカウントをフォローしました。備忘の意味を兼ねてです(ちなみに複数のアカウントでフォローしましたが、それはまあ、その、お許しくださいませ……)。

 すると夢見里さんはDMでめちゃくちゃ丁寧なご挨拶をくださいましたね。いやあれ、めちゃくちゃ長くて丁寧でした(笑) なんていいひとなんだと感じました。


 そして1ページ目をめくった、あなたの物語。


 ……すごかった。春の訪れない国でのドラマは果てしなくおもしろかった。それに、(こんな表現どうやって思いつくんだ?)とびっくりするような描写が数多く存在していました。私はその時点で夢見里さんの公募歴や執筆歴を知りませんでしたが、この方は絶対にプロになるだろうと確信しました。


 そしてあなたはやはり、夢を叶えましたね。

 あなたの言葉を借りるならば、「星を掴んだ」のでしょうか。まさに星だった。あなたは梯子の上に梯子をかけ、皆が諦める中、また一つ梯子をかけ、ついに天に届いたのです。長い……長い時間が流れました。だけど星はあなたを待っていた。


 あなたの住むその町で空を見上げたとき、星はあなたに笑んでくれていますか。あらたな星が、あなたに微笑を点しているでしょうか。きっとこの先、次の星を見つけ、あなたは星から星へ飛び移る宇宙旅行者のようにこの世界を俯瞰してくれることでしょう。


 私は、あなたには本音を話すことができます。

 あなたもまた、私にこころの底から声を届けてくれます。


 深夜4時。あなたと交わし合った言葉を、私はいつまでも忘れないでしょう。

 おもちゃ箱のようにキュートで、硝子細工のように煌めいていて。熾のように熱く、花のように愛おしい。

 私は、あなたと、あなたのご家族と、あなたの親しい方と、あなたの夢が全部、咲いて咲いて……ずっと咲き誇ることを願っています。


 私は、ひと差しの水。

 そうありたい。

 あなたの喉が少し渇いたとき、あなたを潤す存在であり続けられればと願います。だってあなたは神様じゃない。かわいいものを愛し、きれいなものが好きで、悩んで悲しむ一人の人間なのですから。


 少し離れた空の下。


 願いを一つ込めながら、そっとエンターキーを押させていただきます。

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