セレナの暗躍

アレスが帝国の軍隊に連れていかれたあと、セレナたちも聴取を受けていた。

「お前たちはアレス・リアムの身柄をすぐに我々に渡さなかった。しかし、お前たちは四大貴族であるため、一日の謹慎処分でいいそうだ。精々我々に感謝するのだな」

「ふざけるな!どうしてアレスを連れて行ったんだ!あいつが勝手にやってきただけ―」

「それ以上は口を慎め。手荒な真似はしたくない」

「…アレス」


聴取がおわり一日の謹慎が終わると、セレナとニコラスはルナー家の書斎で話し合う。

「お父さん!!アレスが連れていかれたよ!!」

「落ち着けセレナ!」

「でも―」

「いいか?お前まで妙な真似をしたらいったい誰がアレスを助けるって言うんだ!」

「お父さん…」

「私はどうにかしてアレスを助けられんか考えてくる。お前もアレスの事が大切なら自分で考えて行動しろ。」

そうして部屋を立ち去ろうとするニコラスにセレナはとっさに聞いた。

「どうしてお父さんがアレスを助けてくれるの?アレスの事嫌いじゃなかったの?」

「あいつの事は好かん。だがセレナの命を救ってくれた奴は無下にはできん。」


そう言ってニコラスは書斎を出ていった。




あれからセレナはアレスが連れていかれたと思われる牢の見取り図を見つけた。

「これがあればアレスを脱出させることができる。」

「いいんですか?高く付きますぜ?」

そうやって気味の悪い笑顔をしているのは闇の情報屋だ。

「えぇいいわ。これで大事な人が助けられるなら安い物よ。」

すると情報屋はいいカモを見つけたという顔になった。

「やっぱりお嬢さん。この見取り図を売るのをやめようと思うのだが?」

「何言ってるの?」

セレナは驚く。この情報屋の言ってる意味が分からなかったからだ。


「いやーこの見取り図が欲しいって言うお客さんが他にもいてねー。

その人はもっと出してくれるって言うんだよ。」

「ふざけないでくれる?」


値段を吊り上げようとする情報屋には話が通じないと思ったセレナは力づくで解決しようと魔法を使おうとしたセレナに男は笑う。

「お~怖い怖い。乱暴は良くないですね…やれ、お前ら」

男が合図すると屈強な男が三人やってきた。


「その程度の雑魚が何人いようと私には敵わない。」

「舐めたガキだな…やるぞ。」

「まてお前ら、こいつは上物だ…傷つけないでくれよ?」

そういって男が舌なめずりをしたことが戦いの合図だった。


「集え水の精霊たちよ、かの者の周りで漂え。」

「魔法『水のバブル—』」

セレナが魔法を詠唱すると男たちの間に水の泡が漂い始めた。

「こんな水の泡、何ができるんだよ!」

男たちがセレナをバカにするように大声で笑う。

「舐めないでくれるかしら?」


セレナの周りの紫の雷光が迸る。

「—ん!?」


「汝、神の怒りを知れ。かの者の間を突き通す雷光となれ。」

「魔法『共鳴する紫電バイオレット・シンパシー


セレナは放った紫色の雷光は、セレナが発生させた水の泡へ進んでいく。

それはまるで空を駆ける稲妻と錯覚させるほどだった。

雷光が水の泡に触れると、一斉に爆発する。

「—っ!!」


黒い土煙が上がり、その場に立っていたのはセレナだけだった。

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世界最強の騎士は愛する人の為世界を敵に回す マッソー! @masso0426

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