お姫様は話したい―③
(何だったんだあのお姫様…)
アレスは見回りの騎士バレないように自分の牢に戻ると、
今日あった出来事について整理を始めた。
(きっとあのシルヴィアってお姫様は、たぶんアイリスの遠い遠い親戚かなんかだな…)
1000年前の王族の髪はみんな銀髪だった。
純粋な銀髪の人もいたし、赤や青の髪に少し銀が混じったような人もいた。
アイリスは銀の髪に少し青が混じったような髪だった。
(アイリスのあの髪…綺麗だったな…)
そんなことを考えながら、アレスの意識は落ちていった。
■
「今日会ったアレスさん、物知りで優しくてかっこよかったな…」
シルヴィアは今日会ったアレスのことを考えていた。
「けどアレスさん、なんか不思議な魔力していたような気がするな…」
シルヴィアは魔法を使わせられなかったので、座学で魔法の知識を学んでいた。
「アレスさんの魔力は…なんかこう…たくさんいた感じが気がする…気のせいかな?」
座学だけで魔法を学んでいたシルヴィアの考えていることは実際に正しかった。
基本的にどの生物にも魔力は存在する。そして宿している魔力の種類も生まれた時から決まっており、魔族や神も普通は一種類のみである。最高神フリューゲルや魔族の王アスタロッサは複数の魔力を宿していると言われているが、人間で魔力を二種類以上持っているのは賢者クラスである。また、種族によって宿りやすい魔力は決まっており、魔族は黒色に近しい色。神は白に近しい色。そして人間は赤、青、黄、緑などである。もちろん人間でも黒や白に近い魔力を持つものが生まれるが、十年に一人生まれるか生まれないかのレベルだ。
「とりあえず、また今度お話しよう…早くアレスさんに会いたいな…」
そうしてシルヴィアの意識も落ちていった。
次の日、日課である魔法の鍛錬をしているとアレスがやってきた。
「おはようお姫様。」
「おはようございますアレスさん」
アレスはシルヴィアの牢までやってくるとシルヴィアの前に座り込み、話し始めた。
「気になったんだけどさ、どうしてシルヴィアのお父さんである王様とかはシルヴィアを助けないんだ?」
シルヴィアもそのことについてずっと疑問に思っていたが、分からないでいた。
「そうなんですよね…どうしてお父様はここから出してくれないんでしょうか…」
「っていうことは、きっと王様もグルってことだな」
「え?」
シルヴィアは驚きのあまり間抜けな声を出してしまった。
「ごめん…急にこんな話をしちゃって…」
「いえいえ…一度もそんなことは考えたことがなくて…」
「そうだよな、これは俺の考えなんだが…」
そう言ってアレスは自分の考えをシルヴィアに話し始めた。
「たぶん、帝国と王国がグルでシルヴィアを投獄したんだと思う。」
「そんなことってあるんですか?」
「あぁ、前に銀色の魔力をもった女がいてな、その女が帝国と王国に裏切られたんだよ。俺は必死にその人を守るために戦った。けれど俺はその人を守れなかった。だから俺は今その人を探しているんだ。生きてるのかすらわかんないけど。」
その女の人の話をするアレスさんの表情は切なげで、
そしてちょっぴりかっこよかった…
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