第7話


私は、お兄ちゃんと別れてから必死に走った。森までは随分距離があって、でもせっかくお兄ちゃんが私を逃がしてくれたから、頑張った。でも、森に入ってしばらく走って、力尽きてしまった。






しばらくの間気を失っていたようだ。重たい体を起こすと、そこは知らない場所だった。広い部屋。一瞬家に帰ってきたのかと思ったけど、お城にこんな部屋はない。





「目覚めたか」



突然、部屋のドアが空いて声がした。私は直ぐにそちらを見た。


「魔女、さん?なの?」




「ああ、森に入ってくる人間は何年ぶりか。随分疲れているようだがどうしたんだ?」





「私、魔女さんに会いに来たの。」





魔女さんは目を見開いてポカーンと口開けていた。ずいぶんと驚いているようだった。



「私のことを知らないのか?色を奪う、恐ろしい魔女さんだよ?」






魔女さんは悪そうに笑っている。







「私、奪われないよ、だって元々色が見えないの。だから、少しでいいから一瞬でもいいから私に色を見せてください」




私は立ち上がり、精一杯大きな声でお願いした。

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魔女とモノクロの城 流花 @Rina_integral

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