第6話
女性と別れて僕らはまた、魔女を探して歩き始めた。森へはまだ少しある。今日中には着くだろうか。僕はまだ大丈夫だが、アンナはもう相当疲れているようだった。僕が大丈夫かと聞いても多分、大丈夫だと言うだけだから僕は何も聞かずに少しづつ休憩を入れながら進んだ。
「お兄ちゃん、あれなんだろ」
「あれは遊園地じゃないか?一度だけ行ったことがあるよ。」
「楽しかった?」
「ああ。行ってみようか。」
そう言って僕はアンナの手を引いた。行きたいか?って聞いたら遠慮すると思ったから。、
「どれに乗りたい?」
「あれ!馬のやつ!いい?」
「ああ、もちろん。」
アンナはとても楽しそうだった。僕もそれを見てほっとした。これで疲れも少しは取れるだろう。もう森はそう遠く無いはずだ。もうあと何日か、歩けばきっと、
「ねえ、お兄ちゃんこれ白でしょ?」
「え、うん。そうだよ。」
「灰色がないから、白はわかるんだよ」
アンナはそう言って笑った。灰色か白かの世界はどんなだったっけ。僕は昔その世界にいたんだ。でも、あの日あの夢を見てから僕の世界に色がついた。僕はそれが魔女の力だと思っている。少しでも早く、アンナにもその世界を見せてあげたいのだ。
「次はあれに乗りたいよ!お兄ちゃん!」
「うん、今日は沢山遊ぼう!」
僕らは遊園地で夢のように遊んだ。日が暮れるのも忘れて。
でも、その楽しい時間は無限じゃなかった。夢が、覚めたんだ。僕は見覚えのある人を見つけた。
「アンナこっちはダメだ。」
「お兄ちゃん?どうしたの」
「城の奴らがきてる僕らを探してるんだ」
逃げても、逃げても逃げても城のやつがいる。一体何人できたんだ?子供二人で逃げられる距離だ。大人、ましてや城の人間なら簡単に追いつくことが出来る。それを僕は知らなかった訳では無い。でも、夢を見ていた僕らには辛いことだった。
「おい、いたぞ。」
だめだ、見つかった。僕はアンナの手を強く握って必死に走った。信じられないような数の悪魔たちが僕らを追いかけてくる。武器も持っている。怖い。怖い、怖い怖い。怖いよ。僕はこんなふうに、怖い顔をした大人に追いかけられたことなんてないんだから。
「アンナ、僕があいつらを引きつけるから、その隙に森に向かって走れ」
「無理だよ、お兄ちゃん捕まったら怒られちゃうよ」
「大丈夫だよ、僕は怒られた方がいいんだ。アンナはもう十分だよ。逃げろ」
僕はアンナの返事を聞く前に手を離してそれで、
1番前にいるやつをぶん殴った。
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