眠れなかった夜

信仙夜祭

眠れなかった夜

 ……目が覚めた。

 電気を点けて、時計を確認する。


「……3時か」


 どうしようか。まあ、明日は休みだ。偶には、夜更かしもいいだろう。

 俺は、ノートパソコンを立ち上げた。

 それと、テレビも点けてみる。


「……ニュースが流れている? 地震があったのか? 大きかったみたいだな」


 ネットで震度を確認する。

 それと、津波だ。俺は、海沿いの街に住んでいる。

 避難訓練も時々ある。

 避難場所も頭に入っているし、車もある。

 高台に向かう場合は、渋滞が起きて、徒歩の方が速いということも確認済み。

 街を上げての、避難訓練の成果だ。


「……津波の心配はなしか」


 と言うか、地震は数時間前に起きていたんだな。

 今の私は精神的に不安定な時期なので、今日は気絶するように寝ていたらしい。


「とりあえず、火元の確認かな」


 災害マニュアルは、大雑把に頭に入っている。

 まあ、独り暮らしの小さなアパートなので、確認もすぐに済む。

 幸い、ガスは止まっていなかった。

 電気は落ちていないし、停電もなかったみたいだ。

 何の問題もなかったので、再度、テレビに目を向ける。


「一部で停電の発生か。それと電車が危なさそうだな」


 電車が止まると、出勤出来ない。

 明日が休みなのが悔やまれた。


 その後、窓から街を眺める。

 消防車のサイレンも、救急車のサイレンもない。

 静まり返った、夜だった。


「何事もない日常……。ありがたいな」


 今日は、日の出まで起きていようと思う。

 大きく息を吐き出して、全身の筋肉を弛緩させる。


「……何か腹に入れるか。カップラーメンがあったよな」


 私は、台所に向かった。

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