ナイスなイスだよ、みんなのお尻をのせてあげるよ、お知り合いになりたイス

コント、あるいは手品を楽しむような話。

アルジャは町の人に『クウキイス』を売った。
文字通り、目に見えず、形も実体もない。
老婦人が指摘したとおり、個数限定といいながら、買いに来た人間が全員購入できるのはおかしい。

そもそもクウキイスなんてイス、存在したのか?
ようは自分の足で踏ん張り、座っている状態を保っているだけ。
明らかに詐欺である。

完売して町から去っていけば、詐欺師として終わる。
でも本作は違う。
十日後、新たなイスを売りにやってくるのだ。

そんな町の人達に売るのは、『アイス』である。
本作は詐欺師の話ではなく、ダジャレの話だったのだ。


町の人達は、イスを買っているのではない。
アルジャのダジャレを楽しむために払う代金なのだろう。