Midnight Invitation

Midnight Invitation

樋野ひの?」

 こんな真夜中に呼び出すのは、非常識だと思いますが…。来る俺も俺、だな…。

「上がるよ?」

 お隣さんだから。しかも今、無償でお部屋を利用させてもらってるから断るに断れない…。

「樋野?居るの??」

「居るよ…」

 床に転がってたっ!!

 スーツ姿で。

 帰ってそのままゴロンとしたらしい…。

「随分、お疲れだね…」

「そうなの。だから、癒してよ」

「はぁっ?!」

「癒してよぉぉぉ」

 甘えたさんになっても、樋野は樋野だから…。ゴメン。俺、無理。

「ハグぐらいいいでしょ?」

「ハグしたら最後でしょ?」

「確かに」

「お水、飲みますか?」

 顔近付けてわかったんだが、相当酔ってる。

「飲ませてよ」

「嫌です」

「口移しじゃないと嫌だ」

「無理です」

「塩対応。いいねぇ」

 甘えたさんプラス少々、癖がありますね。そもそも樋野に興味ないからそれを知ったところでどうこうなるワケじゃない。弱みを握ったところで俺得でもない…。むしろ要らぬ情報で、記憶から抹消したいところ…。

「はい。水です」

「だから、飲ませてよ」

「起き上がれるなら飲めますよ、はい」

 冷蔵庫にあったミネラルウォーターを手渡ししたら、そのまま俺の手ごと掴んで、

「離してください」

「何?え??あぁ…手、あったの?ゴメン。ゴメン…」

「…………」

「どうしたの?」

「いえ、何でもありません…」

 俺のこと好意的に想ってるのかと思ってたのに…。意外とそうでもないのかな…。

「期待しちゃった?」

「な、ワケないでしょ…」

「顔はそうでもないけど、ね…」

「気のせいですよ」

 ミネラルウォーターをがぶ飲みした樋野はおもむろに服を脱ぎ出す。

築島つきしま、襲っていいならそのまま居てね?」

「帰ります」

「ちょっとくらい考えてもいいんじゃない?」

「興味ないんで」

 本当にいい加減にしてください。とばかりに樋野の方を睨んだら、

「いやぁん」

「本当に興味ないんで」

 無駄に締まった体を見て、たるんだ俺の体を思い出して…舌打ちした。

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Midnight Invitation @tamaki_1130_2020

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