Midnight battle
龍神雲
Midnight battle
朝、昼、夜、この時間帯で最も危険なのは夜である。常闇が覆う様に周囲の視界が遮断され五感が奪われ、まるで麻痺する様な感覚に陥り、誰が何処に潜み襲い掛かるかも分からない、しかしそんな不安と恐怖に苛まれるも決して相対するのを拒まず躍進するのは、此処が守るべき場所で人為らざる者達と刃を交えその地を取り返す為で──早速、闇夜を飛び交う無数の黒いフード付きのコートを羽織った集団と遭遇し、その内の一人が俺に短剣を振り下ろし飛び掛かってきた──が、片手でその刃を受け止め、その一体の鳩尾を突き上げるようにして蹴りを食らわせ手近な巌にぶつけてやった。
『ガァッ!』
だが人為らざる者は直ぐに体勢を整え威嚇し、鋭い牙をこれ見よがしに見せ付け再び跳躍の姿勢を取るが、次にはその身体が真っ二つに裂け地面にどしゃりと崩れ落ちた。その巌を見上げれば、白銀の軍服に身を包んだ相棒の姿があり、仕留めた時に付いた血飛沫を払って長剣を鞘に収め口にした。
「早く元通りになればいいな」
相棒が漏らした嘆息交じりの言葉に俺事──レオンはそうだなと頷く。
嘗てこの国は活気溢れる程の多くの人々が住み、真夜中になっても松明の明かりが灯され賑わいを見せていた。暮らしも国も決して豊かではなかったが平和で、自然と寄り添う生活をしていた。だがそんなある日、奴等は──黒いフード付きのコートを羽織った異形なる者達が唐突に音も無く姿を現した。奴等は決まって寝静まり、夜の帳が下りた頃を狙って無差別に人家を襲撃した。目的は不明で彼等に襲われて生き残っている者の姿はなく、殺された者達は鋭い鉤爪のような痕や刃物で滅多斬りにされており、何れも首から上が無くなっていた。闇夜に現れ、人家を襲い、黒いフード付きのコートを羽織うその格好から『
──そう、その生活を取り戻すまでは絶対に負けられない!
『ガァ!』
「夜明けまであとどれくらいだ」
「半刻だ」
「きついな……だがいくしかないな。背中は任せたぞ!」
「ああ!」
俺達は互いの背を任せ前進した──そして見事に全部の
『やりましたな白銀氏!漸く完徹ミッションクリアで、これはランキング上位確定ではないですかな!?』
そして数秒も掛からぬ内に返事がぴろんと返る。
『ですなですな!我々の連携技があるからこそ数々のハードミッションをやり遂げハイスコアも叩き出せるという訳ですよ!我輩のソードスキルにレオン氏の装甲をも打ち砕く華麗で無慈悲なハイキック……ああ、この瞬間をどんなに待ちわびたことか!今日、この時間に分かち合えた我輩は幸せで……ありがたや!夜中ですが大声で叫んでしまいましたわ(笑)www』
『それは此方の台詞ですえ!私めも恥ずかしながらたった今叫んだところですえ(笑)wwwこの高鳴る気持ちを次のイベにも持ち越し是非クリアしましょうぞ!白銀氏!』
『勿論ですとも!レオン氏がいてこそ我輩のソードスキルが生かされるんで!ぶっちゃけレオン氏がいなかったら我輩はただの雑兵剣士でしかないんで!これからもよろしくお頼み申します(^人^)』
『またまたそんなご謙遜をなさってからに~!白銀氏のソードスキルはこの界隈で知らない者はいないぐらいに知れ渡っているではありませんか!あの流麗な動きは白銀氏だからこそ、いや白銀氏でしか成し得ないのですえ!私はそれに惚れた故、白銀氏に声掛けしたのですえ!』
『ちょちょちょちょっと!ガチで言うのはやめて下され!恥ずかしいですぞ!それに我輩を煽てても何も出ませんぞ!あ、でも出せるとしたら、まぁ──次の新ソードスキルぐらいですが……( ・`д・´)(小声)』
『な、なんと!?新ソードスキルを錬成されたのですか(⊃ Д)⊃≡゚ ゚!?それは是非とも見てみたいんす!次のイベで見れるのを楽しみにしてるんで私もそれまでにスキル錬成しときますわ!』
『ふぉぉおおー!?レオン氏の新キックスキルが次のイベで見れるとな!?wktk!これはけしからん風景の予感!負けられないですわ!ではまたそれまでにお互いにスキルとレベル上げをガンガっていきましょうぞ(`・ω・´)!』
『うぃうぃ!ではではまた(・ω・)ノシ乙でした』
『乙つ(・ω・)ノシ』
チャットを終えた後、この高揚感を今一度噛み締めた俺は室内で呟いた──
「はぁ~。これだから真夜中のゲームは止めれられないですわぁ~」
そして再び、次のゲームイベに備えてスキルとレベル上げに勤しんだ──……
完
Midnight battle 龍神雲 @fin7
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます