黒剣の魔装王 ~世界を影から守る闇の組織で中二の俺が無双する~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

第1話

 真夜中。

 それは、人々が気持ちよく眠りについている時間である。


「…………」


 そんな静かな時間に一人の少年が佇んでいる。

 彼は高層ビルの屋上から街を見下ろしている。


「……来たか」


 彼が呟くと背後に人影が現れる。

 その人物はフードを深く被り顔を隠している。

 だが、彼の目にははっきりと見えていた。


「やあ、久しぶりだね。元気にしてたかい?」


「…………」


「あれ? 無視かな? それとも、これからの任務にビビっているのかい?」


「……無駄口を叩くな。さっさと遂行するぞ」


「おー怖い怖い。そんなんだから友達ができないんだよ」


「黙れ。貴様も早く準備しろ」


「はいはい」


 フードの人物は懐から銃を取り出し、弾を抜き取る。

 そして、その弾丸を自身の指で潰す。

 すると、そこから黒い煙のようなものが現れて彼を包み込む。

 やがて、黒霧が晴れていく。

 そこには、黒い魔装を纏った男がいた。


「ふぅ……。やっぱりこの姿になると疲れるなぁ」


 そう言って、彼は手を何度か振って感覚を確かめる。


「それで準備は終わったな?」


「相変わらずせっかちだねえ。君は準備しなくていいのかい?」


「俺は問題ない。この黒剣があれば十分だ」


「まあ、君ならそうだろうけどさ。もう少し肩の力を抜いてもいいんじゃないかい?」


「……ふん」


 彼は背中に背負っていた大剣を引き抜く。

 その刃には禍々しい模様が描かれている。


「何度見ても恐ろしい魔剣だよ」


「お前も似たようなものだろう」


「君ほどじゃないよ。ま、いいさ。任務を始めようじゃないか」


「……ああ」


 二人はそのままビルの屋上から飛び降りる。

 地面へと着地する瞬間、二人の体は光に包まれた。

 光が収まるとそこには誰もいなかった。

 まるで最初からそこには何もなかったかのように……。

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