約束するよ、そばにいるよ。笑う顔も怒る顔も全部近くで見ていたいな

全体的に文章がうまい。 
とくに描写の表現が良い。
ラストは主人公が死んでしまうし、全体的に死を漂わせた暗さがあるのだけれども、あまり暗さを感じさせない。
色味のある描写のせいかもしれない。
なので、読ませ方のうまい書き方をしていると思う。

冒頭の蝉のうるさい日について。
人の声が聞こえないほど蝉の声がうるさいというのは、もはや騒音である。
耳元に蝉がいて激しく啼いているのなら、「耳の近くで鳴いているような」とあいまいな表現はしない。
冒頭とラストがつながるように書かれているのだ。
なので、冒頭の蝉の声がうるさいのは、蝉ではない。
「鳴き声……泣き声……?」とあるように、舞佳の耳元で拓斗が泣いているのだ。

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