私だけのヒーローに会いたいよ
朱ねこ
ヒロインになりたい
ねえ、私のヒーローはどこにいますか?
問うてみても、返事はない。
手を伸ばしても掴むものはなくて、掴みたいものもない。
少女漫画は好き。ヒーローと恋をしている気分になれる。心配してくれたり、守ってくれたり、甘やかしてくれたり、一途に想ってくれたり、ときめきや胸キュンがいっぱい詰まってる。
私は少女漫画のヒロインになりたい。顔も性格も可愛くて、大切にしてくれる親友がいて、胸がドキドキしちゃう恋をして、ヒーローに愛される。そんなヒロインに私は憧れる。
でも、私の顔はお世辞にも可愛いとは言えなくて、ヒロインみたいに細くもない。
化粧をして髪を巻いてお洒落をしているあの子たちと比べたら私は全然だめ。
あんなに明るくもなれないし、お喋り上手でもない。
男の子に好かれるところなんて私にはない。
もう少し可愛い顔に生まれてたら何か変わってたかなぁ。
消極的で後ろ向き、根暗な性格は良くないと分かってるけれど、こればかりは直せない。
スマホで調べて、編み込みを実践してみたり、髪を巻いてみたりもした。
ファッションセンスなんて持ってないけど、都内でいつもより大人っぽい服とか、可愛い服も買ってみた。
化粧品とかよく分からないけど、スマホを見ながらメイクをしてみた。
姿見鏡に映る私は別人のようで見慣れない。
可愛くなりたいけど、なんかしっくりこない。
背伸びした格好は恥ずかしくて、自分らしくなくてやめちゃった。
何もしない私じゃだめってわかってる。
でも、変わることは難しい。
こんな私でも、愛してくれる人はいないかなぁ。
私だけのヒーローに会いたいよ。
私だけのヒーローに会いたいよ 朱ねこ @akairo200003
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます