小さなヒーロー

最時

思い出

 子どもと近所の公園に来ている。

 あの子はいつものように砂で遊んだり、持ってきたおもちゃで遊んだりしている。

 子どもの頃のことを思い出した。


 幼い私は母の誕生日に四つ葉のクローバーをあげようと、公園のクローバーを見つめていた。

 一日の最高記録は三つだった。

 それより多く見つけようと、子どもの私としては頑張って探していた。

 一つはすぐに見つかり、二つ目はずいぶんと時間がかかってしまった。

 三つ目はなかなか見つからない。

 泣き始めていた。

「どうしたの?」

 近所のお兄さんとお姉さんが声を掛けてくれた。

「探しているの」

「四つ葉のクローバー?」

「お母さんにあげるの」

「一緒に探してあげるから」

 泣いている私をなだめて一緒に探してくれた。

 私を笑わせてくれて、探すのが楽しくなっていった。


 すぐに十本以上の四つ葉クローバーを見つけてくれて、私も四つ目を見つけることができた。

 家に帰って、母も喜んでくれた。


 その後もボールを持っていけばそれで遊んでくれたり、縄跳びを持って行けば難しい飛び方を見せてくれたり、小さい私は邪魔な時もあったと思うのだがいつでも遊んでくれた。

 大好きなお兄さんとお姉さんだった。

 忘れられない思い出。


 少し成長した私は自然と近所の小さい子どもとよく遊んだ。

 お兄さんやお姉さんのように

 私としては簡単なことなのだが、小さい子は驚いてくれたり、喜んでくれたり、嬉しかった。


 私が教師になったのは、この頃の経験が大きいように感じる。

 なんて考えていると、何があったのかあの子が泣いてこっちに来る。

 私は話を聞いてなだめる。

 近くで遊んでいた子も泣きそうで母親のところへ駆けていった。

 すると近所のお兄さんとお姉さんが来てくれて笑わしてくれる。

 小さなヒーローは受け継がれているなと先輩の私も嬉しかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

小さなヒーロー 最時 @ryggdrasil

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説