願い事ひとつ

この学園には、家柄も然ることながら我が侭な振る舞いでも有名な令嬢と、そんな令嬢の側に控える心優しき万能の従者がいた。ある日の野外学習にて、運悪く、あるいは運良く同じ班になった少年少女たち。誰もが横暴な令嬢の言動に辟易する一方、従者の働きによってどの班よりも早く目標を達成する――かに思えたのだが、予期せぬ罠の発動により、地下と地上で二組に分かれてしまうことになる。令嬢と共に地下へ飛ばされた少年は最悪な状況に絶望するも、解けた靴紐を自分で結んだ彼女は土埃も払わず彼へ手を延べた。「ほら、早く脱出しないと。大変なことになるわ」