地ノ底

つくお

地ノ底

 村外れの地中深くには大きな空洞がある。昔からそう言い伝えられていた。一説によると、かつてその場所から来た人がいたという。その人は村人たちから石を投げられて殺され、遺体を井戸に捨てられたとされていた。

 役所が調べてみると、井戸から頭蓋骨が小さく、手指の異様に長い、普通の人とは形の異なる古い骨が出てきた。その事実は伏せられ、井戸はこっそり埋められた。

 大地震が起きたとき、その村に軍隊が来て駐屯した。村人たちは不思議がったが、誰も理由を説明してくれなかった。

 ある晩、村外れで銃をぱらぱら撃つ音がして、村人たちは家から出ないよう命令された。翌日、恐るおそる表に出てみると、軍隊は影も形もなくなっていた。




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地ノ底 つくお @tsukuo

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