最弱と呼ばれた存在が最強と呼ばれるまでの話

@sinkaisakana0o0

第1話はじまり

この世界には異能力と呼ばれる力がある。

それは炎を操ったり、水を生み出したり、空をとんだりする現実とはかけ離れたもの。

これは、そんな世界で最弱と呼ばれた存在が最強になるまでのお話である。


「ぐはぁっ!!」

ドシャっとそいつは地面に倒れ込む。

そいつを殴り飛ばした存在は口を開きそいつに告げた。

「次喧嘩売ってみろ。

今度は半殺しじゃ済まさないからな。」

、、、、、、、、、、、、、

パタンと雑誌を閉じる。

「いやー今週の話メチャクチャかっこいいじゃん!」

そんなことを言いながら上機嫌そうに鼻歌をしているのは御門 タクヤ。

最弱と言われている高校二年生。

所謂落ちこぼれという存在だ。

なぜ彼がそのように呼ばれているのか、

それを理解するにはこの世界を知らなければならない。

この世界は異能力で溢れている。

幼稚園児から年配のご夫婦まで皆んながみんな異能力を持っている。

しかし彼だけは違う。

彼は異能力を持っていない。

故に彼は最弱と呼ばれているのだ。

そんな御門タクヤの頭に手刀が叩き込まれた。

「あだっ!」

「朝っぱらから漫画雑誌なんか読むな!

そんな暇あったら案件が来てないか確認してこい!」

彼女の名前は柳 華恋。

御門タクヤのパートナーである。

この世界は先ほども言ったように異能力に

溢れている。

そして異能力の力に溺れて暴れるものや

犯罪組織なども少なくない。

その数は多く、警察だけでは対処しきれない。

そこで作られたのが学生の異能力者を集め、警察の補助や代わりに捜査行動を行う

この異能力軍事学校である。

事件や捜査などの案件が学校に届き、生徒が解決するのが主な活動である。

「どーせ無駄に時間かかるのに大したことない面倒臭いのしかないだろ。」

「だ・と・し・て・も!

少しでも多く事件解決してランク上げないといけないでしょ!」

勿論異能力にも強い弱いがあるので差は生まれる。

ランクはE〜Aの5段階。

異能力軍事学校ではランクを分けて案件を出されている。

異能力の強さ、戦闘スキル、頭脳において

現在のランク以上の成績を出すことで上に上がれる制度で、ランク測定は2ヶ月に一度行われる。

ランクを上げるには高難易度案件を解決するのと、異能力を強化させる面での両方を測る測定である。

柳 華恋の戦闘能力は異能力ランクBを名乗れるぐらいだが、いかんせん案件の解決数が少なすぎてEランク止まりだ。

「さっさと行くわよ。

来週にはランク測定があるんだから。

少しでも案件こなして脱Eランクよ。」

「はいはい、分かりましたよ。」

「って何食堂に向かおうとしてんのよ!

案件載ってる掲示板はこっちでしょ!」

首根っこを掴まれて引きずられて連れて行かれた御門タクヤは眠たそうに大きなあくびをした。


「、、、、、で、どの案件を受けるんだ?」

御門 タクヤと柳 華恋は掲示板の前にやってきていた。

「ん〜、、、、、これね。」

と、一枚の案件を指差した。

「えーっと何々?

とある組織の頭がまだ捕まっていないから

捕獲してきてほしい、、、、、ランクはB以上。」

今一度確認する様に御門 タクヤは告げる。

「僕らのランクは?」

「E。」

「この案件の指定ランクは?」

「B以上。」

「君は馬鹿なのかい?」

「んなっ!」

柳 華恋は顔を真っ赤にしながら

「誰が馬鹿よ誰が!

大体Eランクの案件やって

高成績納められるわけないでしょうが!

来週のランク測定に間に合わせるには

これしかないの!

それに私は戦闘能力だったらBランクと

並ぶんだから大丈夫よ!」

「おいおい五月蝿いぞ。

少しは周りを気にしたらどうだ。」

「全くよ。

本当に品がないわね。」

突如背後から聞こえた声に2人は驚く。

振り返り声をかけてきた存在を確認する。

そこに立っていたのは

「お、お姉ちゃん!?」

何と柳 華恋の姉、柳 薫だった。

柳 薫、彼女は御門 タクヤや柳 華恋と同じく

2年生だがこの異能力軍事学校で最強と呼ばれている。

たった半年でAランクまで上り詰め、今では

案件解決数最多で圧倒的な頭脳。

そして天才とまで言われる戦闘センス。

どれをとっても超一流の存在である。

柳 薫は最強であるが故に唯一ペアを組まずに

単独行動が許されている。

「貴方達、まだEランクなんかにいるの?

すぐにAランクまで上がってくると思ったのだけど。」

「何それ嫌味?

私は無能力で弱くて全然動いてくれなくて

全く役に立たない奴と組んでるのよ。

お姉ちゃんみたいに恵まれてないの。」

ここまでボロクソに言われても、御門 タクヤは泣かなかった。

彼はメンタルが強いから。

心に真なる強さを秘めているから。

しかし泣きそうな子もまた事実である。

「彼って本当に弱いのかしら?」

「え?」

柳 薫は本当に不思議そうに言った。

御門 タクヤは無能力者で最弱の存在と

この学校全体で知れ渡っている。

しかし彼女は告げる。

「彼って本当はすごく強いと思うのよね。

もしかしたら私以上かもしれないし。

貴方もそこそこ強いんだからきっとすぐAランクまで上がってこれるわよ。」

「何を根拠にそんな事を言ってるんだ

最強さん。

僕は無能力者で最弱の存在って

知ってるだろ。

ペアの妹さんのおかげで留年回避できたんだ。

ずっとEランクにいるのは俺のせいだ。」

「ふ〜ん。

そうなのね。」

と、言いながらニヤニヤする柳 薫。

「ほら、さっさと行くぞ。」

と言って御門 タクヤは先程確認した案件の紙を引きちぎり柳 華恋の手を引っ張る。

そして2人は学校の外へ捜査をしに行った。


依頼

【悪行を働く組織を潰したが頭を逃した。

特徴はドレッド頭に片目に傷跡。

ランクはB以上ではないと難しいと予想される。】

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