出会いと別れ
三枝 優
出会い そして別れ
出会いは鮮烈だった。
それはまるで、今まで出会ったことの無い初めての感覚。
洋子は出会った瞬間、眼を丸くして驚いた。
さわやかで・・・それでいて熟練された表情。
私は、その第一印象にすっかり虜になってしまった。
そして、その後にもいろいろな表情を見せてくれた。
チャーミングな一面
渋い一面
その、様々な面をもっと知りたい。
私は、もっと知りたくて何度も・・・何度も・・・
その度に貴方は私を受け入れてくれる。
ああ、それなのに・・・
貴方はあっという間にいなくなってしまう。
また逢いたい。
でも、これ以上はきっとダメ。
これ以上深入りすると、貴方の魅力に飲まれてしまうに違いない。
私の身体は厚くなってしまっている。
心臓はバクバクと音を立てている。
もう一度逢いたい・・・
でもダメ・・・
あぁ・・その葛藤に私の身は燃えてしまいそう。
「洋子ちゃん、どうしたの?そんなにグラスをにらみつけて」
行きつけの飲み屋。
カウンター席の端で空になったワイングラスをにらみつける柏木洋子に見知った常連が声をかけた。
「んあ?」
「あ、だめだこりゃ。かなり酔ってるぞ」
「何杯も飲んでたもんなぁ・・・」
「完全に目が据わっちゃってるな」
舟をこぎだす洋子。
「おい、誰か送ってってやれよ」
「貴司!貴司が送ってってやれよ」
「え?僕ですか?さすがにまずいんじゃないでしょうか・・・」
「まずいって何がだよ?」
「いや、一人暮らしの洋子さんの部屋に・・・ごにょごにょ」
「あ、ついにカウンターに突っ伏して寝ちゃったよ」
「お~~い、洋子さん!起きて!起きて~~」
「だめだこりゃ」
出会いと別れ 三枝 優 @7487sakuya
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