セブンプレミアム 生きた乳酸菌が入ったアイス プレーンヨーグルト味との出会いと別れ

春海水亭

セブンプレミアム 生きた乳酸菌が入ったアイス プレーンヨーグルト味復活しないかなぁ

 何も思い浮かばない上に、執筆時間も取れない――そんなこともある。

 というわけでかつてセブンイレブンで販売されていた『セブンプレミアム生きた乳酸菌が入ったアイスプレーンヨーグルト味』の話をします。


 まず、名前が良いですよね。

 『セブンプレミアム生きた乳酸菌が入ったアイスプレーンヨーグルト味』もうセブンプレミアムを抜きにしても名前が割と長いのでインパクトが抜群だし、こうやって『セブンプレミアム生きた乳酸菌が入ったアイスプレーンヨーグルト味』と商品名を書くだけで文字数がいい感じに稼げます。


 KAC参加条件は600文字以上4000字なので『セブンプレミアム生きた乳酸菌が入ったアイスプレーンヨーグルト味』と書くだけで最低参加条件の5%は満たすことが出来てしまうわけです。うっひょお。


 まぁ、このアイス――いえ、『セブンプレミアム生きた乳酸菌が入ったアイスプレーンヨーグルト味』に聞き覚えの無い人もいると思いますが、それも当然のことだと思います。このアイス――おっと、『セブンプレミアム生きた乳酸菌が入ったアイスプレーンヨーグルト味』は2013年に発売を開始し(正直、そこも不明瞭ですが)今となっては販売が終了しています。


 さて、このアイス――いいや、『セブンプレミアム生きた乳酸菌が入ったアイスプレーンヨーグルト味』が発売された当時の私は大学生であり、コンビニに対する憎悪感情すら向けるほどに慢性的な金欠の病に苦しめられていました。 

 とにかく定価で買う金が無い。

 安さを求めて、遠くのスーパーで買い物をし、そして人付き合いでアホみたいな外食を送るような破綻した日々を過ごしていたのです、


 もっとも、憎悪と言っても別にそんな本格的にコンビニを憎んでいるわけでもないので、利用できるチャンスがあれば使うぐらいの――まぁ、同席した友達の友達との付き合い方でした。


 まぁ、それに金欠の病と言っても時には小康状態に入ることもあります。

 金のない日々の中で家族や親戚からクオカードを貰うことがあれば、コンビニにクオカードを握りしめて走るわけです。

 金があればコンビニは魅力的な遊園地です。

 ホットスナック!アホが考えたペペロンチーノ!ご当地のクソでかいおにぎり!手に入らないからこそ憎いものは、手が届くとなるとこれほどに愛しいものはありません。そして――『セブンプレミアム生きた乳酸菌が入ったアイスプレーンヨーグルト味』に出会ったのです。


 普段はアイスクリームなんて買いません。スーパーで買えばよっぽど安いですからね。

 しかし、スーパーで販売しているアイスクリームはあくまでも既製品。

 コンビニのオリジナル商品である『セブンプレミアム生きた乳酸菌が入ったアイスプレーンヨーグルト味』は当然、スーパーには販売しておりませんし、代用となるヨーグルト味のアイスクリームなんてものはありませんでした。


 私は思わず『セブンプレミアム生きた乳酸菌が入ったアイスプレーンヨーグルト味』を手に取りました。

 飲むヨーグルトは好きですが、食べるヨーグルトは微妙でした。

 味は好みなのですが、あのぬわりとした食感はどうも、物を食べている気になれないのです。

 それが、アイスクリームになると――ヨーグルトのぬわりとした食感が消え、アイスクリームのふわりとした、しかしはっきりとものを食べていると思える食感になると。なれば――大学生の私は、買い物かごに『セブンプレミアム生きた乳酸菌が入ったアイスプレーンヨーグルト味』を入れていました。


 ああ、蜜月の時でした。

 おお『セブンプレミアム生きた乳酸菌が入ったアイスプレーンヨーグルト味』よ、ヨーグルトの爽やかな酸味、しかしながらアイスクリームとしてのはっきりとした甘みを有したお前のなんたる素晴らしいことか。

 いつか、あれを腹一杯に食べたい――私はそう願ったのです。


 さて私が金欠の病に侵されていた理由は、収入が不定だったからです。

 バイト先のスーパーは気づくと給料が遅れ、最終的には本社まで手渡しという有様で、私が辞めてしばらくして倒産しました。

 そして、私は定期的な労働というのが厭でそれ以降は派遣業務に登録していました。

 しかし初めて仲介を受けた舞台設営で憎悪の炎をこれでもかと燃やすことになり、以降の私は徹底的に仕事を選びました。基本はモデルハウスの看板持ちとゆるきゃらイベント補助だけでやっていました。しかし、そのような仕事というのはいつもあるわけではありません。


 そんな中、通行量調査は複数回に渡って行われることとなり、当時の私にとっては理外の収入になったのです。

 私は不意に思い立ちました。

 このピンピンの千円札――いや、二千円を使ってもいいだろう。

 これで『セブンプレミアム生きた乳酸菌が入ったアイスプレーンヨーグルト味』を思いっきり貪ってやろうと。


 私は胸の高鳴りを抑えながら、コンビニに向かいました。

 目指すは『セブンプレミアム生きた乳酸菌が入ったアイスプレーンヨーグルト味』です。

 しかし、アイスコーナーには『セブンプレミアム生きた乳酸菌が入ったアイスプレーンヨーグルト味』がありませんでした。

 私が通行量調査を行う頃には既に販売が終了していたのです。

 あれが期間限定商品だったのか、思ったよりもダメだったから販売を終了してしまったのかはわかりません。

 わかったのは私が『セブンプレミアム生きた乳酸菌が入ったアイスプレーンヨーグルト味』に出会えなかった――ただ、それだけのことです。


 運命の出会いを果たした『セブンプレミアム生きた乳酸菌が入ったアイスプレーンヨーグルト味』は私の前から何も言わずに永遠に離れてしまいました。

 サヨナラの一言も言わずに。


 しかし、話はこれだけでは終わりません。

 私はどうしても『セブンプレミアム生きた乳酸菌が入ったアイスプレーンヨーグルト味』が食べたくてしょうがありませんでした。

 どうにかして、アレが手に入らないか――大学生を堕落させるためだけの文明の利器ことインターネットを使い、私はとうとうある結論にたどり着きました。


 自作すれば良いのだ。


 確かに『セブンプレミアム生きた乳酸菌が入ったアイスプレーンヨーグルト味』とは永遠に別れることになりました。しかし、別れは新たな出会いを生み出します。

 私は『セブンプレミアム生きた乳酸菌が入ったアイスプレーンヨーグルト味』と別れることで自作ヨーグルトアイスと出会ったのです。


 確かに別れは寂しいですが、別れだけではなく、それに伴う新たな出会いにも目を向けてみてください。

 きっと、去りゆくモノが残すのは――別れだけではないのだから。


 オチがどっか行ったので、皆さんは自分で探して出会っといてください。

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セブンプレミアム 生きた乳酸菌が入ったアイス プレーンヨーグルト味との出会いと別れ 春海水亭 @teasugar3g

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