なんか
朝はすっかり暗くなった。六時程度では日の光すら差し込まない。
起きる時間ですよと携帯電話が鳴いている。夜ふかしした昨日の自分を疎ましく思いながらも音の発生源を特定した右腕は、慣れた動作でアラームを解除した。起こされた身体は、外気の冷たさも相待って布団から出ることを拒む。
なんとか上半身だけ動かし、素早くカーテンを開けてそのままベッドに倒れ込んだ。仕方なし、二度寝でも決め込むかとモゾモゾと身じろぎする最中、ふと耳に入るノイズじみた鈍い音。意識をそちらへ割くとざあざあと。
はてエアコンを消し忘れたかと目を向けるが電源の明かりは見えない。どうやらそれは外からのようで。
ガバりと布団を剥ぎ、窓の外へと目を凝らす。視界いっぱいに上から線分が降り注いでいた。
「……どうりで。」
寒いわけだと。
本日の天気は、雨らしい。
昨日の快晴とはまるで一変。ガラス越しに見える空は灰色で覆われており、何か閉塞感を感じさせた。
「……で?」
「なんだよ?」
「こっちのセリフだ。」
目の前には親友である男が一人。数日前に染めたのだと、嬉しそうに報告してきた鈍い青の頭髪を携え、耳にはいくつかのピアス。『大学生』がそこにいた。
「そう怒るなって!ここは俺が持つからさぁ、な?」
「怒ってはいない。」
ただ、こんな雨の日に、なんのようで、呼び出したのかと。どうしても会って話したいなどというから外出はしたものの、よしんばレジュメを見せてくれなどというくだらない要件であったら、昼飯も払わせる気である。普段は買わない、キャラメルマキアートなるものを眺めながら先を促した。
「スース
短編 クエルア @lastqueller
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