腐敗を正すのは難しい

荒川馳夫

身近な組織の腐敗を垣間見る

「おい、体を動かせ。しっかり働くんだ」


管理職らしき者が部下を叱りつけている。『手足』を動かし、成果を出してみろと必死になっているようだ。


しかし、部下たちは冷ややかな反応で返した。


「嫌ですよ。トップが何の行動も起こさないんですから。いつも、口だけを動かして、あとはただ適当にしゃべるだけ。あなただって、上に不満を感じないんですか?」


そう言い返されると、どうしようもなかった。


「ワタシだって言いたいことはあるさ。いつまでも体を動かさないから、なまりっぱなしだ。背中は曲がったままで、みっともない腹になりつつある。不健康に一直線だと分かっているはずなのに……」


「そうだと感じているなら、はっきりと上に伝えてくださいよ。あなたはこの組織の『背骨』なんですから」


「うーん……そうは言ってもねえ」



 このような議論が行われている中、組織のトップは何をしていたのだろうか?

トップは「内部にいる」部下のことなど気にもせず、ただ食べたいものを食べ、ダラリとして動こうともしないで、一日を過ごす行為を繰り返していた。


トップは見たい番組をみながら、ブツブツと言った。


「いやあ、毎日ダラダラと過ごすのは最高だね。今が良ければ、あとはどうでも良いものさ。さあて、次はやりたいゲームをプレイして、そのあとにインスタントラーメンを食べて……ああ、動くの面倒くさい」


この人物の脳みそは腐敗しきっていた。このような組織に配属された従業員(細胞たち)が可哀そうでならない。





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腐敗を正すのは難しい 荒川馳夫 @arakawa_haseo111

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