「完」の文字は何故怖い?
kayako
完 終 了 つづく 怖くない?
完
皆さんはこの文字に何を感じるだろうか。
「Fin」や「END」ではない。
まっさらな背景にたった一文字の、「完」。
勿論意味としては「物語の終わりを示すもの」つまりエンドマークであるが、私はそれ以外にも感じてしまうものがある。
それは、得体の知れないとてつもない恐怖。
テレビ画面でこれを見ると、何故か子供のころは泣きそうになったものだ。
それは物語の終わりを目にして、そのドラマがもう見られなくなってしまうという悲しさだけではない。
この「完」の文字から感じられる、理由の分からない不気味さが主原因だった。
ちなみに「完」が「終」であっても同様の恐怖を感じるが、恐怖度はどちらかといえば「完」の方が上。
画数が少ないと逆に恐怖が煽られるのだろうかと思ったが、これが「完」ではなく「了」だったとしたらどうだろうか。テレビや映画ではエンドマークに「了」を使っているのをあまり見たことはないが、そこまで怖くはない気がする。
Web小説ではよく、完結小説の末尾に「了」の文字を見るが、やはり「完」のインパクトには劣る。あくまで個人的な感覚だけども。
そして同じ「完」であっても、背景で笑顔のキャラが全員集合してたり、「完」の横か下に「制作:N〇K」とかあれば恐怖度はさらに下がる。
「完」以外の情報があればあるほど安心するということか。
旧劇場版エヴァの「終劇」の文字も、内容もあいまってかなり恐怖を感じたが、これは画面の片隅の2文字だったからまだ良かったかも知れない。
スクリーンのど真ん中、真っ白背景にあの明朝体での「完」だったら、劇場でガチの悲鳴上げていた可能性が(わりとマジで)
あの作品中で飛び交った極太明朝体はどれもそこそこの恐怖を感じたが、画面のど真ん中に一文字だけというパターンはそこまで多くなかったと思う。
では、真っ黒背景に真っ白の「完」。
逆に、真っ白背景に真っ黒の「完」。
どっちが怖いかというと(どっちも怖いけど)個人的には真っ白背景の方だろうか。
黒背景は何やかんやで、闇で包み込んでくれる安心感がある。『闇は優しき母』を実感する。
白背景は本当に、「完」以外に何もない感が凄い。
じゃあ明朝体ではなく、手書き筆文字の「完」だったらどうか。
大昔、一度だけ白背景に真っ赤な筆文字の「完」を見た記憶がある。
何のドラマだったかはまったく覚えていないが、そこだけはなんか記憶にある。
相当怖かったのだろう。
またドラマの内容によっても、この「完」の印象は違ってくる。
ドラマが壮大なテーマ曲と共に穏やかな結末を迎えたのなら、「完」もそこまで恐怖を感じないが――
例えば、主人公が誰かに追われながら山道に迷い込み、そこで唐突に「完」とか。
ヤ〇ザに追いつめられて四方八方を塞がれ行き場を失くしたところで「完」とか。
そういう時の「完」は、終わり方もあいまって非常に恐ろしい。
(上記2例はいずれも実際に見た記憶がある)
あと似たようなケースで、大昔、CMの最後に何故か画面ど真ん中に「つづく」と出るCMがあった。
CM自体も結構異質なものだったが、最後に唐突に出る黒背景でのゴシック体「つづく」に、ものすごく恐怖を感じた覚えがある。
そのCMが流れ出すと目を塞ぎ、部屋から逃げ出すレベル。
しかもそのCMが話題になってしまい、続けとばかりに、ラストに「つづく」とテロップを入れるCMがその後も幾つか作られたような。
だから当時、CMを見るのが怖かった。CMを見るたび、唐突にあの「つづく」が来るんじゃないかと毎回恐怖していた。
ちなみにそのCMに実際に続きはあったのかというと、今現在確認されていないらしい。
(他の似たようなCMについてもどうだか分からない)
自分はその「つづく」に、「完」にも似た何かを感じ取ってしまったのではないかと今では思っている。
第六感でも働いたんだろうか。完だけに。
それはともかく、「完」は容赦ない終わりを感じさせる文字には違いない。
物語の終わりは即ち、馴染み深かったキャラクターたちとの別れ。
しかし、新たな出会いを感じさせる何かがその「完」のどこかにあるならば、この文字から醸し出される恐怖は多少なりとも軽減されるのかも知れない。
というわけで、唐突ですがこのエッセイも
完
「完」の文字は何故怖い? kayako @kayako001
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