異世界に転移とか転生したら、なぜかその異世界が良くプレイしていたゲームとまったく同じ設定の世界で、攻略知識で無双する。
言わず知れたお馴染みのパターンであり、本当に沢山の作品がこのパターンで発表されています。でもこの作品は違うのですよ。なんとゲーム世界のほうから使用キャラが、主人公であるプレイヤーが暮らす現実にやってきます。
このパターン、かなり新しいんじゃないかなあ。
そして始まる虐げられた主人公の、新生の話。つまり二重の意味でブランニュー・ストーリーなのです。
現実に負けそうなかたと、かけがえのない推しを持つかたにお勧め。
6読/119続にてレビュー。
不器用で気の弱いOLの天木葉子は、仕事で失敗が続き、政府が主導する「異世界PIP(業務改善プログラム)」の対象者になってしまう。異世界から異能者を召喚して指導に当たらせるこのシステムで葉子の担当となった神城悠季は、葉子の推しのゲームキャラだった。
推しのゲームキャラが現実の仕事をサポートしてくれるという摩訶不思議なビジネスものです。
物覚えが悪い、ミスが多い、注意力がないと周囲から無能のレッテルを貼られる葉子ですが、彼女の指導員となった悠季は、葉子一人の責任ではなく職場のブラックな環境に問題があると断じます。気の弱い葉子にかわってパワハラ上司に臆せず、ガツン!と正論を叩きつける悠季の啖呵に胸がすく思いです。
さらには葉子の私生活にも介入し、DV彼氏や家族との問題を一掃する活躍が痛快です。
葉子にとって悠季は推しキャラであり、悠季にとっても葉子は自分を信じてゲームをエンディングまで導いた恩人でもあり、お互いを推し合う関係が尊い!
社会問題化するブラック企業の闇にメスを入れる、実はとっても社会派な作品です。
(「私の推し活」4選/文=愛咲 優詩)
胸糞の描写がリアルっていうか、ここまで酷くなくても「ああ、いるよなぁこんなヤツ」と激しく共感させられる説得力といえばいいのでしょうか。とにかく胸糞が全身を包んでくれます。
そして主人公にもややイライラしてしまうボク。分からんでもないけれど、プライベートなことはもうちょいどうにかできたのでは? とモヤモヤ。そこまで追い詰められていたてことなんでしょうけど。いや、でも……
とまぁ、こんな風に気が付けば物語にのめり込んでしまいます。
はたして主人公は盗賊と出会ってどうなるのか。幸せになるのか、ある意味で更なる不幸が待っているのか。是非皆さんもこの作品を読んで二人の行く末を案じてみませんか?