わかれてはほどをへだつとおもへばやかつ見ながらにかねて

八五三(はちごさん)

お片付け。

 今年もあの光景を観ることになる――わたし。

 あのたちは、あの儀式しないと気がすまないらしい。


『どーしても』

『いうなっ、白。俺も』

『でも』

『お前の気持ちは理解している。が、仕方ないだ!』

『黒。そうだよね、黒も辛くて寂しいもん、ね』

『くっ。しかし時間ときの流れっていうのは、早いもんだな、白。コイツと再び出会ったのは、""だぜ』

『十一月だった、ね』


 もう、いいかな?


「ウォーン」「うぉーん」


 ぁ、まだ。


『コイツのおかけで、俺たちは楽しく冬を越せた』

『うん。お散歩は楽しいけど、やっぱり寒いもんね』

『まったくだ』

『僕たちを。もう一度、温めてくれるんだもん――身体を』

『ああ。散歩で体温が上昇しても、すぐに家の中に入ってもらえないからな。おじょうに、足拭きをしてもらってからじゃないと、上がらしてもらえないからな』

『そうだ、ね。最初、散歩後すぐに家の中に飛び込んだら。おじょうに、ほっぺ、びよーぉーんの刑にされながら怒られた。もん、ね』

『懐かしいな』

『あのとき、僕は反省してるけど。反省してないって、おじょうにバレてたよね――黒は』

『なんで、反省してないって分かったんだ』

『だって。黒、睨んだまま、だったからだよ』

『むぅ。そうなのか。ポーカーフェイスには、自信があったんだが、な』

『僕の勝ちだね――ぽーかーふぇいす』

『白の場合は。ポーカーフェイス、ではなく、ぽーかんふぇいす』

『ナニか? 言った』

『うんにゃ。ナニも云ってない』


 さすがに。も、もう、いいよね?


「ウォーン、ウォーン」「うぉーん、うぉーん」


 ぇ、え? まだ、なの!?





『ありがとう』

『ありがとう、ございました』


 

 ぁ、別れの挨拶が済んだみたいだ。

 黒、白、が。犬用コタツさまに――ひれ伏している。

 これでやっと片付けられる、わ。

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わかれてはほどをへだつとおもへばやかつ見ながらにかねて 八五三(はちごさん) @futatsume358

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