第4話「推したい気持ち/お慕い気持ち」(4)
ちゃんと2人ともイラストポスカ、頂きました。
あと、こまリクエストの巨大レインボーわたあめもホントに奢って貰っちゃった。
てかハル、こないだも
今度あたしもわたあめとポスカのお礼ってことで何かお返ししよう──そんなことを考えつつバッグをベッドに置き、いつものようにあたしもベッドにダイブする。
「はああああああああ」
お腹いっぱいだ。
わたあめ──好きだけど、大きかったし甘いしお腹にたまる!
もう何も食べれないや。晩御飯抜きにしよう。今日はレッスンお休みだし、お父さんもいらないって言ってたし。作るのやめた!
というより。
色々いっぱいいっぱいだ。
あれ……絶対放課後デートだよね……⁉
以下回想。
3人で楽しくお喋りしながらわたあめのお店まで行ったあと、最初に出来上がったわたあめを受け取ったこまが──
「あ! やっべ! 私っち、早く帰って配信見る準備しなきゃだった! ハルっち、わたあめサンキュー! じゃあ、お二人またのぉ!」
と、言って風のようにピューンと帰って行ったのだった。
あたし達の返事も待たずして。
いやね、めちゃくちゃありがたいですよ。あたしのことを思ってくれてるんだろうなって。でも、ちょっと露骨すぎないだろうか。これじゃハルだってあたしの気持ちに気付く──
「こまちゃんも推し活、大変なんだな。配信見るのに準備、めちゃくちゃ必要だもんな。気持ちとか。僕も見習わなきゃ。てか、普通に師匠レベルの人じゃない?」
訳が無かった。
あたしが「同じレベルだと思うよ」と苦笑いして言ったら「マジか~⁉ ふふっ、僕もこまちゃんくらいのハイレベルの域に……!」とハルが嬉しそうにキメ顔を作って見せてくれた。
褒めてはないんだけど、ハルのその無駄なキメ顔は好きなので良し!
そのあと、あたしが先にわたあめを受け取ったのだけど、先に一人で食べるのもなぁとインスタ用の写真だけ撮って待っていたら、
「先に食べてていいよ」
とハルが言ってくれる。え、優し。
あたしは「うんん、待ってるよ」と言ったのだけどハルが一瞬考えるような素振りを見せたあと、あたしの持っているわたあめに一口かぶりついた。
「ん。うんま。絶対早く食べた方がいい! てか僕、先に食べちゃったし、
「っ~~~~~~~!」
と、あたしは何も言えなくなってしまったのだった。
これは色々な意見があると思う。『勝手に食べちゃうのは無し!』とか『気遣いイイネ!』とか『奢りなんだし奢った人の自由』とか『自分の分待てよ』とか。
あたしは──さ……さ……さいこう……!
でした。
最高だったり最幸だったり。
あたしは照れながらコクリと頷き反対側からわたあめを食べたのだけど、とても甘かった。たぶん砂糖の甘さだけじゃない。これがたぶん恋の甘さなんだ──なんて。
こま~~~ありがとね~~~~‼
あたしめっちゃ今幸せだよ~~~~‼
こまにも今度お礼しなきゃだ。
てか、ハル優しいな。知ってたけど。なんだそのイケメン行為(あたしはだけど)。それ他の女の子とかにやってないよね? 惚れちゃうからやっちゃだめだよ。
とか。
彼女だったら言えるのかな。
なんて思ったりも。
は~~~~彼女か~~~~。
いいなぁ。わたあめ屋の周りはわりとカップルも多い。
あたし達も周りからはそう見えてるのかな? それだったらいいな。
今はそれで──
回想終了。
そのあとは、一緒に食べながら帰ったのだけど、わりと記憶が曖昧だ。嬉しすぎて。
そんなこともあって、いっぱいいっぱい。
とりあえず、こまにお礼のLINEでも送ろうと思った矢先、こまからLINEが届いた。
『いやあ、好きは難しいよね~!』『今日は珍しく積極的でしたねぇ~~~(ニヤニヤ)』『あ、
…………。
積極的なのバレてたか。
いや、でもあの時ハルに言った言葉は本心で──別に攻めた結果というわけじゃない。
ホントに好きは難しいのだ。
ともあれ、あの時こまも一緒に話を聞いてくれることになったけど、正直とても助かった。
あたし一人じゃ、たぶん
それに、こまもあたしが
まあ、おじさんかも呼ばわりだけは──絶対やめて欲しいけど。
あたしはこまにありがとうスタンプを送ってから──
『あたしの方こそ付き合ってもらってありがと!』『ハルにも言っとく!』
と、冷やかしの文言には触れず返事をする。
そうだ。
気を遣って貰ったこともお礼しなくちゃと文字を打ってると、
『進展ありました?』『私っちバイバイマンになりましたけど』
というLINEがこまから先に来た。
やっぱり、あれは気を遣ってくれてたんだなと嬉しくなる。
『その件につきましては、本当にありがとうございます』『進展は特にありませんが、今度何かお礼をさせて頂けたらと』
というめっちゃ丁重な言葉で返事することになってしまった。
それくらいお礼の気持ちが強いということで。
ちなみに。
あたしがハルのことを好きだということは、こまに一度も言っていない。バレバレだったそうだ。あたしからは言ってないので誰にも言ってない『あたしだけの秘密』と一応言い張ってるのだけど、色々大丈夫かちょっと心配になってくる。
どうかハルにだけは……バレてませんように……。
そんなことを考えていると、こまから「ヤハ」と指差ししてるスタンプが来たあと、
『まじ~? やったー! じゃあ、またわたあめ食べたい! うまかった!』『ハルっちも一緒でええのよ♡』『また先帰りますマンします♡』
と、「ウラ」と湯呑みを叩きつけてるスタンプが2連打できた。ウラウラ。
……ありがたいけどね。絶対楽しんでる。いいけど。
『おっけー! 美味しかったよね!』『いや、ハルがいたらお礼にならないからいいや! 二人でいこ!』
あたしがそう返すとすぐにこまからうさぎが「フゥン」と言ってるスタンプがくる。
無駄にうさぎのスタンプの使い方が上手いなぁ……。
そのあと『じゃ、また遊びいこ!』『配信始まるわ』『また明日ねー♡』と来たので、あたしは配信の邪魔しちゃ悪いと思って「しゅきぴ」と書かれた可愛いスタンプだけで終わらせる。
ふう。
こまにもちゃんとお礼できたし、ハルもいつものハルに戻ったしこれで一段落かな。
しかしまあ。
ハルがかるたんの一言であそこまで深刻に悩んでいたなんて思いもよらなかった。あたしの友達がハルを悩ませたわけだし……なんとか解決できてホントによかった。
認知か~と、あたしも考える。
ハルだけはちゃんと認知してるよ!
なんて絶対言えるわけがないので秘密だ。
認知あるよって言ったらハルは絶対大喜びするだろうし、そんなハルの笑顔が見られるなら、ちょっとだけ──言いたい気持ちにもなってしまうけど。
でも、ダメダメ。
それはできない約束。
決めごとだ。
だから妄想だけで終えておく。
…………。
ふふふ。
いや、うん、あたし本当に結構やばい人間な気がしてきた。
んー……まあ、誰でも妄想くらいするよねと自己弁護。
さて。
楽しげな妄想もできたし、トレーニングでもしようかな。
ハルはどんな
あたしはハルに好きになってもらう努力をしなきゃ。
その分のカロリーを消費しなきゃいけないのだ。
体形維持は怠らない!
ふんす!
推しの認知欲しいの?←あげない 虎虎/電撃文庫・電撃の新文芸 @dengekibunko
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