第4話「推したい気持ち/お慕い気持ち」(3)
「え、じゃあさ、ハルっちは
「んん⁉」
急にこまちゃんが話をぶっこんできた。さすがこまちゃんと言えよう。自由奔放。
しかしその答えは──その答えだけは僕にはあるのだ!
「いやいや、
と、僕が答える前に何故か
日頃から
僕もそれに激しく同意するぞ!
まあでも──
「ふっ。これは昨日も言ったけど、僕は仮に
僕は豪語した。
「僕は
僕は熱く続ける。
「でもね、『たぶつき』公式Twitter見てくださいよ。ツイートにはいつも可愛い♡がついてるんですよ。おじさんじゃないのは明らか‼」
「いやぁ~? おじさんでも♡くらいつけるんじゃいかな~~~? また、逢いたいな♡ナンチャッテ‼ とか言って」
「む」
こまちゃんがにやりとして僕に反論した。
僕は更に続けた。
「ふむ。まあ、その可能性は否定できないよね。でもね、仮におじさんが可愛い♡をつけたツイートをしていても好き! 逆に可愛い♡」
「なるほど、ハルっちはおっさん♡だったら好きと。おっさん♡」と、こまちゃんが可愛く言うと「それは違うくない⁉」とすぐ
まあ、そう言われたいおっさん♡は多いかもだけど、その話は置いといて──
「それに! 僕は
どーん! と、僕はそう言って、スクールバッグからポストカードを2枚取り出す。
いつでも
偉いな、僕!
僕はそれを2人に手渡し「これが最高に可愛い
「イラストじゃねーかっっっ⁉⁉⁉」
と感嘆符疑問符が三つくらいつく勢いで、
ボケというか、まあこのイラスト見せたかっただけなんだけど。
「いや、でもめちゃくちゃ可愛いでしょ?」
僕はしたり顔で言う。
いや、本当にこのイラストめちゃくちゃ可愛いのだ。
「……ま、まあね。あまりにも可愛いイラストだから、たぶん
伏し目がちに
先程あまりにも大きい声でツッコんだものだから今更恥ずかしくなったのか顔を赤くし、照れたご様子。
そんな
「ふ~ん、私っちはあんまり
「巨乳だけで判断すんなーっ⁉ こまもあたしとそんなに変わらないでしょ⁉」
「え? いや、この胡桃染色でミディアムな編み込んでる髪形も一緒じゃん」
「わりとどこにでもいるでしょ、この髪形⁉ 髪色は──まあ、たまたま‼」
「あ、ほら、今のポーズとこのイラストのポーズ一緒だし」
「たまたまじゃーっ⁉ ほら、これで変わったでしょ⁉」
「それにほら、
「────飛べるか~~~っ⁉ あたしが空飛べたら
「う~ん、でも巨乳だし」
「巨乳から離れて⁉」
「あと、可愛いとこも似てる」
「……ん⁉」
そこで
まあまあ
きっとこまちゃん的には
わかるよ、その気持ち。僕もよくやる。ちゃんとツッコミくれるからなぁ。
しかしイケメンな終わらせ方だな。僕も見習わなきゃ。
てか、またこまちゃんが
よし、僕も参戦しようかなと思ったとき、
「ねぇ、ハル」
「ん?」
「あたしは別に推しと好きな人って別々でいいかなって思う人間だけど──ハルは、それはできないんだよね?」
「まあ、それはね。僕は世界で一番
「……そっか。うん、でも、あたしもそのハルの気持ち好きだよ。好きって──色々な感情だし。好きに正解なんてない。誰かの好きは誰かを傷つけるかもしれないし」
あれ、そんな曲もしかしてあったっけ──と、錯覚してしまいそうなくらい。いや、僕は
「好きって難しいよね。たぶん、ハルも
「そうなんだよな……そう」
ん?
今とても、
「
「え? 好きな気持ちをどうにか知ってほしい……?」
「…………あ~~~~~‼ それだよ、それ‼」
僕の大声に
申し訳ないが、まあ、それは気にせず僕は話を続ける。
「ずっと引っかかってるな~って部分の答えがわかった! そうなんだよ! 付き合いたいとかってのは、過程をぶっ飛ばしてるじゃん⁉ いきなり付き合えるとかないじゃん⁉」
「う、うん、まあね」
と、
「まず、好きって気持ちを相手に知って貰わなきゃ何も始まらないんだよ! でも、それよりもっと知ってもらわなきゃいけないものがあったんだ! 僕はそこをずっと見落としていた。逢って──どうしたいかの答えもそこにあったんだよ‼」
そうなのだ。ようやく得心いった。
見落としていたもの。
それは──自分自身だ。
出会ってもいないのに付き合うとかおこがましいにも程がある。出会っていたとしてもかなりおこがましいけど。
そう。
僕の引っ掛かり──『僕は常に応援の念を飛ばしているのさ。僕、実は進化人類だからね』なんて言うくらいには盲目的に僕の想いは届いていると思っていた。
グッズも買うし、CDは店舗特典分全部買うし、毎日音楽は聴いてるし、毎日ポスターに話かけるし、Twitterは即リツイートするしいいねもするし、いつも好きだと叫んでいる。
これほど命を懸けてるんだから
本当に愚かしい。届くわけないじゃん‼
自分で自分のことを馬鹿だと思ってはいたけど、ここまで馬鹿だったとは。
でも、ようやく理解できた。
「僕はずっと──認知が欲しかったんだ」
なんなら
そうだ。
僕はそれが前から羨ましかったのだった。
そしてここ最近の私信だったり、新曲が神曲だったりで、自分の中で盛り上がってしまって『逢いたい』って気持ちになっていったんだ。
ようやく全部繋がった。
逢って──どうしたいか。
僕はずっと──
ああー……なんかすごいすっきりした。
僕の脳(アタマ)ん中に刺さっていた針が抜けたようだよ。
「…………まあ、
と、
やはりか。
「それは私っちもわかるよぉ、認知してもらえたら嬉しいしねぇ。私っちもネッサで『暴れ星獣ちゃん~! いつもありがとう~!』って言ってもらえたとき嬉しかったし」
「こまちゃんそんな名前で活動してるんだ……」
かっけぇ! 僕、普通にハルだわ……目立つ名前に変えようかな……。
てか、こまちゃん! ネッサ──ネットサイン会とかにも参加してるんだ! 同類だったか……!
「まあ、そういうことで僕の悩みは解決した! 僕はまず認知が欲しい! ありがとう二人とも話聞いてくれて! 特に
「そっか。ハルの悩みが解決できたのなら、あたしはそれで」
「いやあ、本当よかったよ。すっきりすっきり! 何かお礼しなくちゃね」
「えぇ、悪いねぇ。私っちはじゃあ巨大レインボーわたあめがええなぁ」
「え⁉ あ、あたしはお礼とか別にいらないけど……」
ふむ、
僕のことを心配してわざわざ話を聞きに来てくれたわけだし、ホントにちゃんとお礼をしたいという気持ちだったけど(勿論、こまちゃんも僕なんかの悩みに最後までちゃんと答えてくれたのでお礼したい)どうしたものか。
と、僕の中に名案が浮かび上がる。
今、これ以上ないお礼ができるじゃぁないか。最高のお礼ができるじゃぁないか‼
僕は──
「じゃあ、さっきお渡ししたその
キメ顔で言う。
すると。
「「別にいらない」」
呆れ顔の2人にハモって拒否られた。
…………。
なんで⁉
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます