【KAC20226】幼馴染と買い食いと焼き鳥

朝霧 陽月

買い食いがしたい!!

「人生に置いて、無駄というのは無駄でありながら同時に必要不可欠なもの……いわば、人生に置ける潤滑油と言っても過言ではないのです」

「いや、結局何が言いたいんだよ」

「うん、つまり何が言いたいかというと、学校帰りの寄り道や買い食いって最高だよねってこと!」

「…………でもお前、買い食いするの今日が初めてだよな?」

「だって制服のままあまりウロウロするの良くないことだからさ……でも高校時代に一度くらいは、買い食いと寄り道は経験しておきたいなぁって一念発起しました」

「更に言うと俺はお前の幼馴染だが、同級生でもなければ、同じ学校の先輩でもない……普通こういうのって同じ高校生同士で来るものだよな」

「だって、誘える人がいなかったんだからしょうがないでしょー。カイくんだって、今日なら予定なくて都合いいって言ったよね?」

「確かに言ったが……高校生が大学生と都合を合わせる時点で、学校帰りの買い食いとか寄り道の定義としてはどうなんだ。あと同じ学校の生徒に見つからないように、わざわざ学校から離れた商店街を選んでるところとか……」

「むぅ!! 私がそうだと言ったら、そうなんだもんっ」

「はいはい、分かった分かった」

「ほらっ、それに大学生で成人のカイくんが居れば、実質保護者がいるのと同じなので、買い食いや寄り道も悪いことにならないのです!! エッヘン」

「大体みんなやってるし、そんなに悪いことじゃないからな? なんでたまに、謎の優等生気質を出してくるんだよ」

「一応、学校では優等生なので……あっ、つい長話しちゃった、あまり遅くなってもいけないから急いで寄り道しなちゃ」

「急いで寄り道って単語もおかしいんだよな」



「そうして、移動してきたわけだが……ここは?」

「見ての通り、焼き鳥の屋台です」

「なぜそれを選んだ」

「美味しそうなので」

「いや、女子高生といえばもっと他に色々あるんじゃないか!? スイーツだの、お洒落な飲み物だの」

「焼き鳥だってお洒落だよ、串にささってるところとか」

「ちょっとお前の感性が分からないわ……」

「それにここの焼き鳥は炭火焼で、物凄く美味しいって評判なんだよ!!」

「……まぁ、お前が楽しそうならなんでもいいわ」

「えー、ちょっとカイくんはそんな顔してるの? 目の前にホカホカの焼き鳥があるのに」

「別に焼き鳥とかどうでもいいから」

「なんと、こんな素晴らしい焼き鳥を目の前にしてこの発言、これはとても許されませんね……というわけで、とうっ」


 少女は購入した焼き鳥の一つを、サッと青年の口に放り込む。


「むぐっっ!! ちょ、何するんだ危ないだろうが!!」

「と言いつつ、焼き鳥自体はしっかり食べてるみたいだね。ふふっお味はどうだった?」

「…………うまかった」

「でしょ!! ほら、もっといる?たくさん買ったから、もっともっと食べていいよー!」

「ちょ、いや、やめ……次は自分で食べるから、焼き鳥をこっちに突きつけてくるな!!」


 こうして二人は楽しく焼き鳥を食べて、無事寄り道を終わらせて暗くならないうちに帰りましたとさ。

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【KAC20226】幼馴染と買い食いと焼き鳥 朝霧 陽月 @asagiri-tuyu

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