異世界転生したら『焼き鳥缶』が∞に出せるスキルが強過ぎた件

固有スキル：焼き鳥缶

私は焼き鳥缶を愛してやまない。

居酒屋で出てくる焼き鳥も美味いが、焼き鳥缶は安価な値段で、色々な味付けが楽しめる。

賞味期限も長いので大量に買い置きも可能。

しかし。今、許しき自体が起きている！！

何と、焼き鳥缶（塩味）のストックが一つも無い。

タレ・柚子胡椒・変わり種のカレー味のストックもあるのに、塩味の焼き鳥缶が無いのだ。

私の頭は塩味の焼き鳥缶を食べたい欲に支配されている。

他の味でこれを誤魔化すことは出来ない。

家の近くで私の好きな焼き鳥缶の塩味が買えるのは『ドンキなほーて』のみ。

あのドンキなほーては夜中の22時まで営業している。

前までは24時間営業だったが、例の病の影響で短縮営業中。

今の時刻が21時40分、家からドンキなほーてまでが10分ちょい。

これならギリギリ間に合う。

居ても立っても居られずにドンキなほーてに走り出していた。

息を切らせながら10分ほど走ると、ドンキなほーてが見えた来た。

後はこのキツイ登り坂を登り切れば、焼き鳥缶（塩）が食べられる…。もう家まで待てない。

ドンキなほーてで焼き鳥缶を買ったらすぐに近くの公園で食べてやる。

最後の一踏ん張り！！この坂道を登り切っれば…。

そこで私の記憶は途切れた。

そして意識を取り戻すと、目の前に美しい女性がいた。

「天界へようこそ」

「貴方は既に死んで魂だけの存在になっています」

「次に転生する世界ランクとスキルランクを的当てで決めて頂きます」

突然の展開に頭が追いつかないが、美しい女性はどんどん話しを進めていく。

「それでは生まれ変わる世界ランクを決めるので、あちらの的を狙って、この矢を撃って下さい」

「必ず当たるように設定されてるので安心して下さい」

聞きたいことは沢山あるのだが、何故か言葉を発する事が出来ない。

言われる通りに、初めて触る弓を手に取り…。

言われた通りに的に向かって弓を撃った。

初めての弓にも関わらず、物凄い勢いで弓は飛んでいき。

的に当たった！！

そして、その的を確認する美女。

「はい。ランクCの世界になります」

「前回の世界がランクBだったので、ランクは落ちるけどDまでなら当たりですよ」

「続いてはスキルレベルの的に弓を撃ってね」

今回も言われるがままに、弓を打つ。

また的を確認する美女

「大当たり！！スキルランクレベルS」

「スキルランクレベルSは神様が許可される付与ポイントの範囲で、既存スキル獲得・もしくは希望スキルをカスタマイズして固有スキルに昇華して習得する権利です。」

「希望スキルを聞く為に一時的に発言権を付与します。」

そう言われた途端にやっと声が出せるようになった。

「これはどうゆう事でしょうか？」

美女は面倒臭そうに。

「言った通りよ、神様が許可された付与ポイントの中で既存の好きなスキルを獲得しても良いし、好きなスキルを更にカスタマイズして、固有スキルにすることも出来るので早く決めて」

「付与ポイントは1000P」「これが既存のスキル表と必要ポイントね」

詳細を説明してくれる気は無いみたいだ。

スキル表を見てみると、異世界ラノベで聞いた事があるようなスキルがずらりとある。

一番高いポイントで獲得出来るスキルが『勇者：20000P』

Sランクスキルで1000P付与されたが、勇者はSランクより相当上のようだ。

最近のソシャゲだとSレア位では全然使い物にもならないパターンも多いが、Sランクでもハズレなのか？

大当たりと言われたので、ハズレでは無いと思うが少し心配になりながらポイント表を見る。

そして【焼き鳥缶】を入手出来る可能性があるスキルを必死に探す。

スキル候補としては。

①異世界ショップ1000P

他の世界線も含めて、対価を払うことによって好きなアイテムを購入する事が出来ます。

異世界ショップで購入したアイテムは、専用ストレージに保管され、好きに出し入れ可能です。

②具現化500P〜

最初に設定した希望する１つのアイテムをMPを消費して具現化する事が出来る。設定するアイテムによって消費MPと＋αスキルポイントが必要になる。

具現化希望アイテムの入力画面があったので迷わず【焼き鳥缶】と入力した所、追加ポイント無し【MP１】＝【焼き鳥缶/1個】の具現化が可能らしい。

他にも【焼き鳥缶】を入手出来る可能性があるスキルは複数あったけど、不確定要素があるので除外した。

そして、最初は①異世界ショップ一択と思ったのだが、スキルを見ていくと、見逃せない項目がある。

それが、前世の記憶引き継ぎスキル100P〜。

どうやらこのスキルを取らないと、そもそもが前世の記憶が引きつげないらしい。焼き鳥缶が食べれなかった無念を残したまま転生などあり得ない。

そうなると最低でも100Pは必要になるので、異世界ショップは選択不可になる。

しかも、最低の100Pの記憶引き継ぎは、大きな衝撃があった場合一定の確率で思い出すってもので、不確定要素がデカ過ぎる。

引き継ぎスキルの最高ランクだと、成人スタート・記憶引き継ぎスタートもあったが、何と1000P。魅力的ではあるが、焼き鳥缶が無い世界かも知れない場所に、焼き鳥缶を手に入れることが出来るかわからない状態で行くのはリスクが高い。

生まれてすぐに前世の記憶を思い出したい場合は保持する場合は400P。

これなら確実に焼き鳥缶の存在を覚えたまま、具現化のスキルを発動出来る。

むしろ前世の記憶も、焼き鳥缶も無い世界だった場合【具現化スキル】が発動出来るのかも微妙なレベルな気がする。

具現化のスキル（焼き鳥缶）と前世記憶引き継ぎスキル（即）を選択して900P

そして残り100PでMP成長（大）を選択。

初期MPが何ポイント貰えるのか分からないが、１P＝焼き鳥缶１個なら、少しでも多くのMPが必要なのでMP成長（大）を選択。

ここにも【MP無限】何てチートスキルもあったが、12000Pとスキル勇者よりは安いが手に届くレベルでは無かった。

全てのポイントを使ってスキル選択を完了すると。

美女さんがまた面倒臭そうに。

「スキル選択が終わったのであれば次に進みますよ」

「貴方の生まれる家柄・ステータスなどに関してはスキルランクと運で決まります」

「スキルランクSの場合は。家柄ランク・基本ステータス共にSS/10%・S/30%・A/30%・B/30%」

「スキルランクSを引いた時点で家柄が最低ランクBでも下級貴族」

「初期ステータスが最低ランクBでも、普通に育てば騎士レベル位にはなるからランクCの世界でも前世より良い思いが出来るかもね」

勇者のポイント割り振りが異常だったので、心配したけどSランクは十分当たりだったようだ。

「それでは、これで手続きは完了。来世をお楽しみ下さい」

・・・・・。

次に目を覚ました瞬間、私は赤ちゃんだった。

スキル獲得で前世の記憶を引き継いだので、ばっちり記憶が残っていた。

ただ、体がまともに動かないし…。喋ろうとするも

「オギャー・オギャー」

言葉にならない。そんな何も出来ない状態で１ヶ月が経過した。

そして１ヶ月間、赤ちゃんなりに情報収集をした。

その結果だが…。全くわからん。

私の父は見た感じ強そうな騎士？母は若くて優しい雰囲気の女性。

そして見える範囲の家の感じも、それなりに綺麗で広そう。

これが全ての情報だから困る。

転生する上で非常に肝心なことを忘れていた。

そう…。言葉の壁である。

前世の知識＋焼き鳥缶を具現化する能力が無駄になることは絶対に無いが、聞いたことも無いような言語で話している内容は、頭に何も入ってこない。

前世の記憶とスキルで、即焼き鳥缶を食べるつもりだったけど、この状態ではそれどころじゃない。

まず、この世界がどのような世界なのか？更に言語は最低限覚えないとダメだよね。

そして5年。そう5年経ってしまった。

言語を覚え色々と情報収集してみると。なんと、この世界は5歳になるまでスキルが使えない事が判明！！

5歳の誕生日に神の声が聞こえ、そしてスキルが使えるようになるらしい…。

つまりスキルが貰える確約は取ったが、生まれてすぐ使える訳では無い。

やられた〜〜〜〜〜。

そんな訳で、悲しいかな5歳までは焼き鳥缶を手に入れる事が出来ない事が確定。

そこからは、全力でスキルが発動して焼き鳥缶が手に入るようになる日の為に努力をした。

そして今日ついにスキルを手に入れた！！

父上に獲得したスキルの内容を説明が完了。

今から【焼き鳥缶】を具現化する。

具現化は強く念じれば大丈夫らしいが私の昂る気持ちは抑えきれない。大きな声で叫ぶぞ！！

『焼き鳥缶（塩）』

何も無かったはずの私の手の中には間違いなく、ドンキなほーてで売られてる焼き鳥缶が現れた。

父上も非常に驚いている。

私はすぐに焼き鳥缶の蓋を開けて、中身の焼き鳥を食べる！！

行儀が悪いと怒られるかも知れないが、5年ぶりの焼き鳥缶の焼き鳥…。ある意味命を掛けて手に入れた焼き鳥。

目の前にあるのに食べない選択はない。

私が凄い勢いで泣きながら焼き鳥を食べ終わった後に、少し引いてる父から色々と質問された。

「それは食べれる物なのだな？非常に美味しそうな匂いがするな。」

スキルが使えるようになってからMPが確認できるようになったので確認すると、私のMPは何と250もあった！！

これが一般的な人と比べると多いかは分からないが、焼き鳥缶計算で250個。

MPに余裕があるので再度焼き鳥缶を具現化して、父上にも焼き鳥缶の中身を提供。

「う〜〜。これは美味い。」

父上も気に入ってくれたようだ。

しかも、焼き鳥を食べ終わった【缶】自体にも興味を持ってくれた。

この金属は何だ？武器などにも使えるのか？

食糧不足と金属不足を一気に解決できる可能性がある。焼き鳥缶＋前世の知識で異世界チート無双が今始まる。