塩だったのか、タレだったのか。

味噌わさび

第1話 思い返してみれば

「……はぁ」


 帰り道、飲み会が終わって多少酔っぱらいながらも、俺は家路を急いでいた。


 結構飲んでしまったような気もするし、そこまで飲んでいない気もする。


 まぁ、一応意識があるから、そこまで酔っていないだろう。本当に酔っていれば、記憶も無い時もあるし……。


 そんな時、ふと、飲み会のことを思い返す。


 飲み会ではかなり飲んだが……果たして食べ物は食べただろうか?


 確か、焼き鳥が出てきていたはずである。


 あの焼き鳥は……塩だっただろうか? それともタレだっただろうか?


 なんとも、それが気になってきてしまった。


 少し酔っ払っているからか、記憶が定かではない。


 だが、焼き鳥を食べたことは覚えている。しかし、タレだったか、塩だったかが思い出せないのだ。


「……俺も年だな」


 なんだか少し悲しくなってしまったが、ふと、先を見ると、コンビニがあった。


 俺は何気なくコンビニに入り……焼き鳥を買ってしまった。


 今の時代はコンビニで焼き鳥も買うことができる。なんとも便利になったものだ。


 俺は焼き鳥を頬張る。まだ少し寒い時期なので、なんとも温かく、ありがたい味だった。


「……ふぅ。満足した」


 俺はかなり満足した気分になった。


 だが、同時に一つのことを思い出す。


 あれ……今の焼き鳥は塩だったか? タレだっただろうか?


 あまりにも気にしていなかったので、そのまま食べてしまったが……よくわからなかった。


「……まぁ、いいか」


 今度は気をつけて食べようと思ったが、まぁ、たぶんその時になってしまうと、気にしなくなってしまうのだろう。


 焼き鳥くらい、何も考えずに食べたいものだからだ。

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