第24話 シャル視点一生かそれ以上を使いたい。
ダーリンと別れてバスにのり揺られながら自分の通う学校へと向かう。
未だにダーリンから聞いたことが信じられないアリスがあそこまでするとは思っていなかった。
バスに揺られながら今何故ここに柳永がダーリンがいないかと嘆いていた、彼がいればなんとかしてくれるのに……と、
今日の放課後私はアリスに会いにいかなくてはならない、大切な大きな身体に小さな心を秘めているダーリンを守るために、彼が私たちを守ろうとしてくれたように……今だからダーリンが彼がタイムリープしたことへの確信。行動の一つ一つが理解できる。
そう思いながら窓の外を見て遠い海とその先の境界線を眺めながら彼と出会った忘れられない日々のことを思い出していた。
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一生かそれ以上を使いたい
もしそれがあなたの心をわかるのにかかる時間ならたどりつけないかもしれないけど、挑戦したい
何年だろうが、残りの人生だろうが。常にそんなことを考えていた。
そうあの日彼が私を見つけてから。
彼と出会ったのは、小学生6年生の時、海見小学校に転校した。
その日だった。
もう何度目の転校か、父の転勤に連れ添い両手で数えきれなくなってからやめた。
クラスの子達にも最初囲まれて話していたが、消耗しきった心、あと1年の付き合いもしかしたらたった数ヶ月かも知れない関係で友達を作るのがもう怖くなっていた。自分のからにこもっていた。
その日の1限目の、2限目、3限目……いや毎回毎日来ていただろうか、皆んなに先生に注意されながらも私の元にくる一つ年下の男の子がいた。
「俺と付き合って下さい一生幸せにします」
最初は驚いて断った。だって彼は場所も選ばず高学年の教室でそんなことを恥ずかしげもなく私だけを見つめ繰り返し告白してきた。
そんなやりとりがずっと続いた。いつのまにか私の周りには興味本位で人が増えていつしか作るつもりもなかった友達まで出来ていた。
「また来るかな?和歌鷹くん面白いよね一目惚れだって?」
「みみっからかわないで下さい。なんで私なんでしょうね、いつ転勤するかもわからないですのに……」
「メガネ正直似合ってないけど……ほら外せば美人じゃんだからじゃない?」
「はぁ……返して下さい」
それからも彼は毎日きたが、私の中の何かを動かすことはなかった。それから私は1ヶ月後にまた転勤になることを聞いた。
その日窓から見える地平線の端を見つめ続けてた
意識のある限りなぜなのかわからずに。
どれだけ、努力しても、どれだけ最善をたどっても、やっと友達や好意を抱いてくれる人が出来ても、どの道をつくろうとしても、小学生の私では力が足りず全ての道は塞がっていった。
私行きたくない場所へ、次々と。
でも、どこまでも終わってるくらいに、私がどうしても行きたい場所なんてものはなかった。
そのことに酷く絶望していた。
その日も彼はきた。わたしは転勤のことを聞き今1番会いたくない時だった。
本当に彼の好意に応えなくて良かったと感じ、休み時間もトイレに逃げて合わないようにしていた。正直彼を嫌いな理由は、私の中にない行動力、精神力や会う回数が増えれば増えるほど胸にちくちくと刺さるものを感じていた。
そんなことを思い早く帰ろうとした放課後彼は廊下にいた。
彼の後ろでは空と海と出会う線が見える
彼が私を呼んでいる、本当になぜ好意を抱いているかわからない子、夕陽が後光のように刺しておりまぶしくて彼が見えない。
「シャル……俺が転勤も、これからシャルに起こるであろう障害もなんとかするよだから、信じて一生付き添ってくれないか?」
この先だれも知らない
それがどこまで深いかなんてわからない未来へ。
「そのことをどこで……て聞いても和歌鷹くんははぐらかしますよね……ねぇ和歌鷹くんなんでそんなに私を好きでいてくれるの?」
「簡単なことだよ、それは……」
彼の言葉にそんな簡単なことで好きになってくれたんだと、自分の中で難しく考えすぎていたことに気づいた。
不思議と手が伸びて彼の手を握っていた。出会って初めて彼の手を取り、わたしは和歌鷹くんに、いやダーリンに断りを入れて家へと向かった。
和歌鷹くんあなたは私の行きたい場所へ地平線の先まで連れて行ってくれる?
家に着いた。大口を叩いた彼を試す気もあったけど、それ以上にこれ以上絶望したくない自分がいた。
母親しかいなかったが、彼は父が帰ってくるまで待っていてくれた。
父が帰ってきて、話の席につくと彼は、驚くことに小学生と思えない流暢な英語で、父と喋っていた。
まるでずっとこの日のことを知っていたかのように……ランドセルから出したその手には幾つかの資料なども握られていた。
途中からは彼の父親も呼ばれたようで家に来て家族で話していた。知らなかったが、彼の父親と私の父は面識があるようだった。
そんなことわたしだって知らなかった、なんなら今日やっと告白を受け入れたのに彼はまるで前からわたしと付き合っており、これからのことについても話していた、私が不思議そうにしていると私のことを横目に彼は私を見て、ウィンクしながら、口に人差し指をつけてシーっと合図を送っていた。
わたしはずっと日本に住んでいたから何を話していたが全ては理解出来なかったけど、長い間話した後、最後に父と彼が握手したことで、私の居場所が守られたことを知った。
私がどうやっても無理だと思っていたこと、彼はやってのけた。小学生なのに、私より年下なのに彼はどんな魔法を使ったのか分からなかった。
「簡単なことだよ、俺の全てを君のお父さんに伝えただけだよ」
消して簡単なことじゃない、私のためにどれだけの労力、どれだけの精神力があれば、大の大人と対等に話せるというのか……。
むしろわたしと会ったあの時からこうなることを知っていて行動していた節もある。
彼の父も、今日のことを事前に聞いて動いていたようであり、伝えていないわたしは初だからということで片付けられていたが、彼が帰った後。
父も母も私とアリスに無理させてごめんと謝ってくれた。
そして私たちの子どもでありがとうとも……
涙が止まらなかった、1番聞きたかったこと、胸に秘めた思いが弾けて兄弟2人で両親に抱きついてその日は家族で泣いた。でも、不思議とその涙は温かった。
一生かそれ以上を使いたい
もしそれがあなたの心をわかるのにかかる時間ならたどりつけないかもしれないけど、
挑戦したい
何年だろうが、残りの人生をかけようとも。
あなたを知りたい例えシワが増えてしわくちゃになってもあなたの側で、一生寄り添ってあなたを知りたいと……。
そうわたしは心に誓った。
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作者欄
5月病なのか、筆が進まない今日この頃です。
ストックも残り数話のため投稿ペース落とします。
説明欄の先に述べた通り、書けないなと思ったら書くのをやめてしまうため、そうなった際は申し訳ありません。
追記、直す箇所が多く、修正含め下書きに最後まで書き切ったら投稿します。
そのため一旦投稿を中止致します。
「青春タイムリープ」彼女達と過ごした1年間の話 ゴリラつらみ @j55f3b
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