大好きなご主人様とボクの日常

海野 佑空

(短編小説) 大好きなご主人様とボクの日常

 初めて作った作品になります。

 いたずら好きな猫と飼い主の関係を小説にしてみました。


※小説家になろうにも掲載しています


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 ガターーン


「え、今の何の音!?」


 慌てた様子でキッチンから走ってくるご主人様。なぜか両手に小皿とお玉を持ったまま来ているけど、それで一体何をするつもりなんだろう。


 ボクも音が想像していたよりもかなり大きくて、正直びっくりした。こんな大きな音が鳴る怖いものを部屋に置いておくのはよくないよね。


「あ、またレオのいたずらね。エアコンのリモコンを落としちゃだめよ! まあ、棚の上に置きっぱなしにした私も悪いわね」


 あれ、どうやら怒られちゃったみたい……。


「ニャーン(ごめんなさい)」


 そう言って、リモコンを拾い上げたご主人様の足に体をこすりつける。これご主人様とくっついていられるから、ボクも結構気持ちいいんだよね。


「もう……、甘えれば許してもらえると思ってるでしょ。レオは本当に賢いわね」


 ご主人様はそんなことを言いながらも、ボクの頭をでてくれた。とっても気持ちよくて思わず目を閉じちゃう。


「私のご飯作り終わったら、あなたのご飯も出してあげるからもう少し大人しくしててね」


 そう言って、キッチンに戻って行ってしまった。もうちょっと撫でて欲しかったな……。

 大きな音が出て怒られちゃったのは片手で適当に落としたから駄目だったのかな? 今度ここに置いてあったら両手で慎重に落としてみよう。そう心の中にメモした。



◆◆◆



 ボクの名前はレオ、もう気付いている人が多いと思うけど、猫だよ。ご主人様に飼ってもらって1年ぐらいになるかな。品種? って人間が呼んでいる物では、シャム猫って言うらしい。前にご主人様が他の人にそう説明しているのを聞いたことがある。


 ご主人様曰く、ボクの耳や尻尾、手や足の先の色が濃くなっているところやサファイヤブルーのひとみがとても可愛いいらしい。


 ボクの魅力にかかればたいていの人は笑顔にできるんだ。その人達の足元に行って体をこすりつけると、みんな幸せそうにボクの頭や体を撫でてくれる。


 ボクってすごいでしょ! でも、あんまり撫でてもらうのが気持ち良すぎて、そのまま寝ちゃうことがあるのは内緒だからね。



 ボクの日常は冒険の連続なんだ。おうち中のいろんな物で遊んだり、毎日変わる窓の外の様子をのんびり眺めたり、ご主人様に遊んでもらったりするんだ。今もリモコン? っていうやつを移動させて怒られたところだしね……。


 だって、ボクのお気に入りのキャットタワーへ行くのに、この棚の上を通るのが一番便利なルートなんだもん。あんな邪魔そうな物が置いてあったら移動させなきゃいけないじゃない。



 人間が平日って呼んでる月曜日から金曜日までは、ボクのご主人様もどこかへお仕事に出かけてしまうから、家でひとりぼっちになっちゃう。


 寂しそうって思う? 以外とそんなこともないんだよ。お家の中には面白い物がいっぱいあるからね。特にご主人様がボクのためだけに置いてくれている物がたくさんあって退屈しなくてすむんだ。


 例えば、動くネズミのおもちゃが置いてあって、触ると動きだすようになってるんだけど、これが動き出すと思わず目を吸い寄せられて、追いかけたくなる。こんな時はもうこれ以外に何も考えられないようにになっちゃう……。(,,ΦωΦ,,)


 これは狩りの練習にもなるからいいんだけどね。とは言っても、ご飯はご主人様が用意してくれるからこれまで一度も狩りはしたことないんだけど。ご主人様曰く、猫は自然と狩りの練習をするものらしい。


 でも、ご主人様によると、狩りというのは生き物を捕まえて食べちゃうことらしい。それも生で――。


 そんな恐ろしいことボクにはできないから、ずっとご主人様の用意してくれるご飯がいいなって思ってる。別に怖いわけじゃないからね、ボクは優しいんだよ。


 まあ、こんな感じでひとりでも遊ぶことができるんだ。


 でも、やっぱり、ご主人様に直接撫でてもらっているときが一番幸せかな。だからご主人様がお仕事から帰って来た時はすぐに玄関に行って撫でてもらうんだ。



 ご主人様にとって休日の土曜日と日曜日は、ご主人様が一日中家にいてくれて遊んだり撫でてくれたりするからとても楽しい。


 でも、休日のご主人様、朝全然起きてきてくれないんだよね……。ひどいときなんかはお昼ぐらいになってから起きてくることもあって、その間ボクはご飯が食べられないからとてもお腹が空くんだ。


 いつもゴロゴロしてるボクが言うのもなんだけど、ご主人様はもう少ししっかりした方がいいと思う。


 でも、ボクは知ってるんだ。ご主人様がやっているお仕事というのはそれはもう辛くて、疲れることなんだって。だって、いつもご主人様はお仕事が終わって帰ってくると、とても疲れた顔してるんだもん。


 そんなに大変なのに、いつも玄関まで甘えに来るボクのことを優しく撫でてくれるし、ちゃんとご飯を用意してくれる。ご主人様いつもありがとうね。


 でも、そんなに大変ならお仕事無理し過ぎちゃダメだよ?


 他にも、休日はいつも少しだけしかしてくれないブラッシングをたくさんしてくれるんだ。とても気持ちよくて思わずそのまま寝ちゃうぐらいに。ご主人様のブラシテクは本当にすごいんだよ? みんな一回体験してみればそのすごさがきっとわかるよ。



 ボクのご主人様は怒っている時とか怖いこともあるけど、いつも遊んでくれるし、お仕事で疲れてる時でも優しく撫でてくれて、ご飯を用意してくれるし、ボクのことをすごく大切にしてくれるんだ。


 大好きなご主人様、これからもよろしくね!




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 猫ってめちゃくちゃ可愛いですよね。

 毛並みもふわふわで、目がくりくりしていて、肉球を舐めている時とか、あくびしている時とか、伸びをしている時とか、首をかしげている時とか、ちょっとした仕草がすごく尊いです。

 猫がいたずらして、私が怒っている時も、少し困ったように見上げてくるあの様子には何度心を撃ち抜かれたかわかりません……。


 この作品ではそんな猫の可愛さの一端を猫目線で書いてみました。

 もし私が猫だったらきっとこんなことを考えているのかなというイメージです。

 楽しんでいただけたら幸いです。


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大好きなご主人様とボクの日常 海野 佑空 @honnnosekai

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