【KAC20224】とある幼馴染二人の会話劇
朝霧 陽月
本文
「ねぇねぇ、なんか面白い話ない?」
「ねぇーよ、それよりも俺の部屋に上がりこむな」
「えー、いいじゃん別に減るものでもないし……あ、お菓子みーけったもらおっと」
「いや、待て俺の部屋にあるんだから、俺の菓子に決まってるだろ!? 勝手にもらうな、そもそもみっけたじゃねぇ!!」
「まぁまぁ怒らない怒らない~ ほら、某RPGでも室内で見つけたモノは勇者がもらう権利があるし、幼馴染として長年ここに私が居ついてること考えると、もう半分私の部屋みたいなものだからさ」
「ツッコミ切れないほど、全ての理論がおかしいんだが!?」
「考えるんじゃない……感じるんだぜ?」
「いや、マジで訳わからないからな!! もういいから、さっさと菓子返せや」
「はぁ、分かったよ、そこまでいうのなら……このお菓子は半分あげよう」
「おい、今の話聞いてたか? 返せって言ったんだが??」
「ははっ、そこは代わりに面白い話もしてあげるから許してよ」
「代わりに面白い話な……まぁ、本当に面白かったら考えてもいいが」
「やった!! はいはい、これはもう勝ち確定ですよ、もうメッチャ面白いから」
「分かったから、さっさと話せよ」
「ふふふっ、そう急かさない……物事にはタイミングというものがあるのだから」
「いや、なんだよその意味深な感じは」
「まぁまぁ、黙って少し待ってよ」
「……分かったよ」
「…………」
「…………」
「……………………」
「……………………」
「……むかしむかし、あるところに」
「あれだけ焦らしておいて、普通に昔話っぽい導入で語り始めたぞ!?」
「おじいさんとおばあさんがいた……ようないないような…………あっ、やっぱり若者だったかもしれない」
「そして話を続けるものの、ストーリーラインがブレブレじゃねぇか!? いや、そこはしっかりしないとダメだろう……!!」
「えー、それでその若者はある時……幼馴染の部屋で面白い話をしようとしましたが、内容が全く思いつかないので、約束のお菓子をまるまる持って逃げることにしました、おしまい!!」
「は!?」
「っと、いうわけでお菓子は私のものなのだ!! さらばだ!!」
「いや、待てさせるかぁ!!」
「ははっ、この私に追いつけるかしら!?」
その後、部屋の持ち主の彼は二階でバタバタ駆け回り、それが母親に怒られたため、幼馴染を取り逃すことになったという。
【KAC20224】とある幼馴染二人の会話劇 朝霧 陽月 @asagiri-tuyu
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