エピローグ
昔々あるところに、1人の魔女がいました。
「白い魔女」と呼ばれたその魔女は、他の人には使えない魔法を使うことができました。
しかし人々は魔女の力を恐れ、嫌い、魔女を遠ざけました。
不老の呪いをかけられたその魔女は長い時を、1人でひっそりと生きていました。
魔女はある時、1人の王子と出会いました。
王子は、魔女を恐れませんでした。
魔女が持つ力も、魔女の過去も、恐れることはありませんでした。
「あなたを信じましょう」
王子はそう言って、魔女の手をとりました。
王子は、呪いを受けていました。
呪いを解かなければ、王子は死んでしまいます。
魔女は王子の呪いを解くために、呪いをかけた男のもとへ向かいました。
その男は、魔女に不老の呪いをかけた男でした。
魔女はその男に、魔法で人々を苦しめることはやめるように言いました。
しかし、男は魔女にこう言いました。
「魔法を使うことの、何が悪いのか」
魔女は言いました。
「人を傷付けたり、困らせる魔法を使うことは、悪いことだ」
男は、笑いました。
「弱い者が、悪いのだ」
魔法を使うことも、弱い者を虐げることも、何も悪くない。
男は、そう言いました。
魔女は王子と協力して、その男を倒しました。
呪いが解けた魔女は、死ぬことができるようになりました。
呪いが解けた王子は、生きることができるようになりました。
「私と共に生きてほしい」
王子はそう言って、魔女に想いを伝えました。
魔女は、王子の想いに応えました。
そうして2人は結ばれ、いつまでも幸せに暮らしました。
『魔女と王子』
― - - - - - - - -
「死ねない魔女と死にたい王子の婚約譚」、完結しました。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
死ねない魔女と死にたい王子の婚約譚 国城 花 @kunishiro
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